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入歯狂騒曲

 早番で出勤したら、夜勤明けでもいつも元気なミイさん(仮名)がグッタリした顔をしてステーションでコーヒーを飲んでいた。

事情を聞くと、夜勤帯で同じ居室の男性の入居者同士でガチの殴り合いが起きて、一方的に殴られた方の唇が裂けて救急で病院に搬送され、6針を縫うということが起きたらしい。

その人たちは2人ともまだ70代で認知症があるが、脳梗塞のリハビリと骨折後のリハビリのため入所している。
普段は二人とも、職員の介助は一部のみでリハビリの成果があり入所時よりもADLも上がっているので、問題も特になく自分のペースで過ごしている人たちだから、そんな状況になっていて内心ビックリした。

その原因というのが「義歯」。
自立の人なのでいつも自分で歯磨きをされるので、洗面台に人数分の口腔ケアに必要なものを一式セットしておくのだけれど、その日は殴った方(Aさん)が義歯を外した時に間違えて別の人の義歯ケースに入れてしまったらしい。
認知症なのでそんなことはすっかり失念してしまって、他のことをして過ごしていたのだけど、ふっと入歯のことを思い出して、またハメようと洗面台に行ったら自分のケースにあるはずの入歯がない。

義歯を盗まれたと思い込んだAさんは、「入歯がない!!盗まれた!!」と大騒ぎをはじめ、ホールに怒鳴り込んできた。職員が居室に向かい洗面所を見たら同室のBさん(殴られた方)の義歯ケースに入っていたので見つかったことを
ホールで大騒ぎしているAさんに告げたら
「どこにあったんだ!?!!」
「俺は確かに自分のケースに入れたんだ!!!!」
「そいつ(Bさん)が盗んだに違いない!!!」とホールでゆっくりテレビを見ていたBさんに物凄い勢いで近づき
「てめえ~ふざけやがって!このやろう!」と職員が止めるまもなくいきなり殴りかかった。

Bさんはずっとホールにいたし、それはAさんの思い込みだから・・・と仲裁に入った職員が何度言っても興奮したAさんは聞く耳を持たず、ミイさんたち女性職員を振り払ってBさんに殴りかかろうとする始末。

BさんはBさんで、全くの濡れ衣だし、いきなり訳も分からす殴られて、呆然としていたが、段々と事情が分かり始めて怒りが爆発した(当たり前だよ・・・)
女の力ではもう止められないので、他のフロアの男性スタッフに助けを求め、同じ法人内の病院に救急搬送の手配をし・・・他の他の入居者を落ち着かせ・・・と凄まじい一夜だったそうだ。

「いくら認知症でも、これは即、強制退所だね・・・」
と、みんな一致しているが、ここでまた一つ新しい問題が。

Aさんは元々奥さんにDVをしていた人で、奥さんはAさんに絶対に家に帰ってきてほしくないし、引き取りは断固拒否!次に長くいられる有料などの施設をケアマネと一緒に探している、ちょっと訳アリな人だということ。

これからしばらくは大変な状況になる・・・Bさんの家族にも事情を説明しなければならないし・・・。

こういうことがあるから、介護職が段々嫌になるし、認知症だとか高齢者だとかだけでBPSDを受け入れなければ・・という気持ちにすんなりなれない自分がいる。







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