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施設入居、そこに本人の意思はあるのか?

入居型、通い、訪問、とさまざまな形で介護サービスを使っているお年寄り。家庭環境も、利用に至るまでの経緯も千差万別だ。たとえば、入居型を選んだお年寄りだとしたら、そこに本人の意思はどれだけ反映されているのだろうか? きっと家族やお年寄りを取り巻く環境はさまざまで、そこに入居したことが本意なのかどうかは、本人にしかわからない。

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どうして私はここに居るんだ? なぜ家に帰れないんだ?

 あるおばあちゃんが私に話してくれた。「私はなんでここに居るんだ? いつまでここに居ればいいんだ? どうして息子は迎えに来ないんだ? 家に電話して確認してくれ」と。入居して3年間、こう話し続けた。さて、スタッフはなんて答えたらよいのか? 電話して息子の声を聞けば、安心するのか? 息子がマメに会いに来れば安心してそこで暮らせるのか?

 認知症のお年寄りからよく聞かれる言葉。「私は家に帰りたい」その人に関わるスタッフはなんと答えているだろうか? 「今日は遅いから明日にしましょう」「今から歌を歌うので帰らないでください」帰れない事情はスタッフは知っているかもしれない。本当の事を話しても、聞いてもらえないのかもしれない。が、私は“なぜ帰りたいのか”を聞いてほしいと思う。何か本人には心配なことや、気がかりなことがあると思うから。

帰りたい理由を本人に聞く、ていねいな対応が信頼関係を築く

 私は5年しか介護に携わっていないが、「帰りたい」と話すおじいちゃんやおばあちゃんにたくさん会ってきた。家に帰りたいと話すおばあちゃんだったら、「どこの」「いつの」「だれが居る」家に帰りたいのかをていねいに聞いてあげてほしい。

 「子どもたちにご飯をつくらなくちゃいけないから、早く帰らなくちゃ」「お父さんがもうすぐ帰ってくるから夕飯をつくらなくちゃ」「買い物へ行かなくちゃ」……「帰りたい理由」を聞くと、きちんとしたそれが本人にはある。認知症になって繰り返し話す言葉には、その言葉の裏に隠されている強い思いがある。

 それをていねいに拾い、聞き、受け止める。たとえそれが40年前の話でも、一緒にその方の話に耳を傾け、心を寄せれば安心してもらえることもある。論点をずらしたり、話題を変えたりしても、それはごまかしているにすぎない。本気で向き合っていないスタッフが、はたしてお年寄りから信頼されるだろうか?

 1日に半紙1枚分でもいい、日々の信頼関係を築いていく。そのことによって、認知症の症状が軽くなることだってある。たとえスタッフの名前を憶えていなくても、そのスタッフの笑顔によって安心することだってあるのだ。

 排せつ介助や食事介助、レクリエーションの参加など、日ごろ当たり前にやっていることは、すべて信頼関係の上に成り立っている。そのことを、介護に携わる人間は心にとめておいてほしい。

次のページは・・ おばあさんはどうして3年経っても「帰りたい」と言うのか?

キーワード: 介護家族 , 認知症 , グループホーム

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