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厚生労働省だけを責めていいのか?地域包括ケアの新しい姿とは

今回の介護保険制度改正は、これまでの医療・介護保険制度が先送りしてきたツケを回されたともいえるもの。現行案だけを批判しても生産的ではない。過去をどう振り返り、これから各地域においてどう地域包括ケアを構築するか?

制度改正案に対する現場や市町村の風あたりの強さ

 日本のすさまじい高齢社会をどう乗り切るのか。

 高齢化がさしあたってのピークを迎える2025年度までに、地域包括ケア体制を各市町村で構築するという方向性が示されている。これは、2012年度の介護保険制度改正で決まったが、具体策は先送りされていた。2015年度からの介護保険制度改正に向けて厚生労働省案がまとまり、年度末の通常国会に提案される。その柱となる地域包括ケア体制づくりが本格化する。だがこの案に対し、高齢者ケアの現場や市町村の反発は相当に強い。深刻なギャップをなんとか埋めなければならない。

 そのことを痛感させられたのが、年明け間もない1月11日午後、東京千代田区内幸町のプレスセンターで開催されたシンポジウム、筆者が副会長を務める福祉フォーラムジャパン主催の「どうなる どうする 介護保険」であった。

 厚生労働省老健局から、榎本健太郎介護保険計画課長が出席、厚生労働省案を説明した。

 その中で論点の一つとなったのが、「要支援」向け事業で、訪問介護(家事援助などのホームヘルプサービス)と通所介護(入浴などのデイサービス)を、3年かけて市区町村の事業(介護予防・生活支援サービス事業)に移す案である。

 従来の国による一律のサービスではなく「多様な主体によるサービスの提供」というものだが、榎本課長は、その内容として訪問介護では既存の訪問事業所による身体介護や生活援助サービスに加え、NPOや民間事業者等による掃除・洗濯の生活支援サービス、住民ボランティアによるゴミ出し等の生活支援サービスを、通所介護では既存の介護事業所による機能回復訓練等のデイサービスに加え、NPO、民間事業者等によるミニデイサービス、コミュニティサロン、自由民主体の運動、交流の場、リハビリ、栄養、口腔ケア等の専門職等が関与する教室などを参考例として挙げた。

 これに対し、シンポジストの一人、小島美里・NPO法人暮らしネット・えん代表理事(埼玉県新座市)は、「そもそもボランティアで、どこまで担保できるのか。ボランティアとは、この仕事をやれと押しつけるものではなく自主的にやりたいことをやることであり、限界がある。私たちはボランティアから始めたが、NPOを立ち上げたのはそのためだ。今回の案を見て、専門職として一生懸命、利用者を支えてきたホームヘルパーたちはバカにされたという思いだ」と批判した。

 神奈川県小田原市で30年余にわたり高齢者の施設、在宅ケアに取り組んで来た時田純・社会福祉法人小田原福祉会理事長、笹井肇・武蔵野市健康保健部長は「そもそも介護保険の理念、保険というあり方を根本的に転換させるものではないか」と問題点を指摘。会場からは、埼玉県所沢市で長年介護保険行政に携わってきた鏡諭・淑徳大学教授が「拙速に過ぎる」と声をあげた。

 さながら現場からの批判の大合唱という観を呈した。

 いずれもそれなりに同感できる批判ではあったが、私は最後にこう発言した。

 「これまで13年間の介護保険の歴史をまず振り返ってほしい」と。

次のページは・・ 論点を先送りしてきた介護保険13年の歴史を総括すべき

キーワード: 政府・厚労省 , 地域包括ケアシステム , 2025年問題 , 介護保険制度

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