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認知症を支える、地域ぐるみの取り組みを

「認知症になっても安心して住めるまちづくり」は、具体的にどうしていけばよいのか? 筆者も関わった国立市の取り組みを通じて、考えてみたい。

ハーモニカを演奏した当事者のおじいさんのひと言

 「認知症本人にとって大事なのは医療でも薬でもない。周りの愛です」。

 3月2日東京墨田区で開催された日本臨床倫理学会第二回年次大会の基調講演「Ethics of Dementia Care 認知症ケアの倫理」で、Stephen G.Post教授(ニューヨーク州立大学)が繰り返し語った結論である。

 語る人によっては少々クサい言葉ともなるが、認知症ケア、予防医学で知られた教授の言葉はなかなかの説得力だった。

 それで思い出したことがある。

 1年半前になる。2012年10月、東京国立市で開いた第一回認知症の日の目玉イベントとして企画された当事者による合唱の際に、ハーモニカ演奏をしてくれたおじいさんにまつわる話である。

 200人の市民、関係者が見守る中、このおじいさんは「上を向いて歩こう」と「ふるさと」の2曲を演奏した。少しの乱れもなかったが、最後のくだりにさしかかると、周りが立って合唱している中で、椅子に座ったまま涙を流しながら、演奏を終えた。

 大きな拍手が送られる中、マイクを握り「私は戦争に行き、昨日まで一緒に過ごした友が次の日には亡くなった経験をしました。この曲は亡くなった友人たちに捧げます」と叫んだ。20歳のとき中国に出兵、35人の隊で生き残って帰れたのは3人だけだったという。

 この「認知症の日」の半年後、おじいさんは家族に見守られて静かに世を去った。

次のページは・・ 認知症になっても感性は豊かで、人生には重みがある

キーワード: 認知症

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