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認知症の妻の介護でみえたこと−介護家族と医師の視点から その後 vol.2 転居 −環境の変化は悪いか−

昨年暮れに住み慣れた一軒家からマンションに転居した筆者と妻。家を売って賃貸マンションに引っ越す決意をなぜ下したのか? 引っ越しに際して認知症である妻が不安にならないように夫である筆者がどのように対応したか? 環境の変化が必ずしも悪いとは言えない。むしろ認知症の人がより相応しい環境で生活しているかが大切だという。

関連記事:認知症の妻の介護でみえたこと−介護家族と医師の視点から その後 vol.1

転居の理由

 昨年初め、妻と二人で20年近く暮らした住宅地の一戸建てを転居して売りに出すことにしました。その理由は二つほどあります。

 一つは、家が二人で住むには大き過ぎるようになったからです。

 大きいといっても、その住宅地では平均的造りで、一階は広いダイニング、キチン、浴室、トイレ、二階は大小4つの部屋でした。

 2004年から妻の介護と家事全般をこなしてきた60歳代後半の私ですが、家事のなかで掃除がだんだん疎かになり、家の中も外もだんだん薄汚くなってきました。といってもそのことで生活に大きな支障が出るわけではなく、来客も少ないから、汚くなることがあまり気にならなくなったのです。

 在宅介護の「コツ」の一つは、要領よく手を抜くことを覚えることですが、妻の直接的な介護 −紙パンツを換える(1日4回)、濡れた衣服や寝具を換えるなど− と別に間接的な介護 −掃除、洗濯、料理など− も上手に手を抜くことを覚えてきました。

 そのなかで掃除は、少なくとも1週間に1度と決めていましたが、掃除の難しさは大きなゴミや汚れを取り除くと、それまで気付かなかった小さな汚れが目立ち、際限がないということです。小さなゴミや汚れを無視するか気付かないようにすると、結果的に大きなゴミも汚れも気にならなくなり、ますます家が汚くなっていき、意欲を失っていったのです。

 大きな家よりもっと小さい家、しかも賃貸でよい、マンションまたはアパート −3LDKほど− がよいだろうと思うようになりました(注1)。

もう一つの理由は経済的なことです。

 介護生活を始めてからは年金が主たる収入です。介護生活が始まると、なにかとお金がかかります。介護保険サービスを利用するとそれ相応の支出が伴います。二人で蓄えた預貯金を取り崩して生活に充てなければなりません。いずれはなくなる可能性があり、預貯金を補うものとして、私名義の自宅の建物と土地という不動産がありました。これもいずれは現金化しておかなければならないと思っていました。しかし預貯金が底をついてから売ったところで売れるという保証はありません。売るならこの時期だと売却を決めました(注2)。

次のページは・・ 転居先探しから売却

キーワード: 介護家族 , 認知症

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