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認知症の妻の介護でみえたこと−介護家族と医師の視点から その後 vol.12(最終回)提言−在宅生活の条件−の再検討

今年1年間、転居後で経験した認知症の妻の在宅介護の実態を報告しました。私は、以前(2009年)、認知症の人の在宅介護の条件として9つの項目を提言したことがあります(注1)。これらの条件を私の実際の介護経験から再検討して、この連載を終えたいと思います。

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認知症対策の基本は認知症の人と家族を共に支えることが重要課題に

 厚生労働省は今年1月、2017年度以降の認知症対策として「認知症施策推進総合戦略―認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて―」(通称:新オレンジプラン)を公表しました。この戦略の基本的考え方は「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」とされ、7つの柱を挙げています(注2)。

 認知症の人は、住み慣れた在宅で、あるいは地域で生活すべきであるとすることは、わが国に限らず、経済先進国での基本的な認知症対策であり生活実態です。その生活をどのように社会的に支援するかの構築が問われているのです。また多くの認知症の人が在宅で生活するために家族という介護する支援者が共に生活を営んでいることも実態です。このため認知症対策の基本は認知症の人と介護家族を共に支えることが重要な課題でもあるのです。

1.認知症の状態

 認知症の人の在宅介護は、他の心身の障害のある人の在宅介護とは異なった困難さを伴います。

 認知症の状態とは、中核的な症状である記憶や判断などの認知機能の低下とBPSD(認知症の行動・心理症状)の両者の状態をいいます。認知症の人の在宅介護の条件としての認知症の状態は、主に後者のBPSDの内容と程度のことです。強い幻覚や妄想、「徘徊」、介護者への暴力などが続くと在宅介護が困難となるか、不可能となります。もっともこうした認知症の状態だけが在宅介護を左右するものではなく、介護家族の認知症と認知症の人の理解(注3)、介護者の心身の状態、住居、地域の社会支援などとの絡みのなかで在宅介護が続けられるか否かで決まるのです。

 中核症状の見当識障害とそれに起因するBPSDがもたらす不安により認知症の人が夜間、不眠で屋内を動き回るということが続き、眠剤を服用させても不眠不穏という状態が続くと、介護家族は疲労困憊して在宅介護を諦めるかもしれません。また、たった一度の「徘徊」でも、歩行障害のある高齢の介護家族は、在宅での生活は不可能と放棄するかもしれません。しかし私の場合のように、何度かの「徘徊」を経験しながらも、外出できないようなドアの鍵一つで在宅介護を続けることができることもあります。

 在宅介護の条件として認知症の状態、とくにBPSDについて、その原因を理解し、可能な対応方法を検討することですが、これは家族一人でできるものではなく、在宅介護支援センターのスタッフやケアマネジャーなどと行うことが望ましい。この際、必ずしも在宅介護にこだわることなく、施設介護という選択肢も残しておく必要があるでしょう。

次のページは・・ 2.認知症の人の身体状態

キーワード: 介護家族 , オレンジプラン , 認知症

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