介護職の想いをつなぐ介護職のウェブマガジン

認知症理解のための医学知識 - 2. 診断基準となる5つの項目

前回は、認知症診断基準について5項目あると記したが、シリーズ2回目は、その内容について詳細を解説したい。

関連記事:認知症理解のための医学知識 - 1. 認知症と診断する基準は何か?

関連記事:認知症理解のための医学知識 - 3. 認知症ではない記憶障害

関連記事:認知症理解のための医学知識 - 4. 認知症と紛らわしい精神疾患

認知症診断基準の詳細

 前回は認知症の診断基準としてDSM-IVを紹介しました。以下の5つの状態を満たして、認知症と診断します。

1. 記憶障害がある
2. 失語、失行、失認、実行機能障害が少なくとも一つある
3. 1 および 2 のために社会的職業的に生活の支障をきたす
4. 1 および 2 の原因として中枢神経系疾患または全身性疾患がある、またはあると思われる。
5. 意識は清明である

 まず、「記憶障害」ですが、記憶の内容やもの忘れの程度は問いません。一般的に認知症になると新しくて重要なことが覚えにくくなります。

 次に「失行」ですが、手足の運動や感覚の麻痺がないにもかかわらず、目的にかなった行動ができにくい状態です。たとえば、箸を使ってうまく食べられなくなる状態を言います。

 「失認」とは、目で見える対象が何ですか? の認識ができない、できにくい状態のことです。たとえば、長年連れ添った妻が目の前にいても、誰かわからなくなる状態です。

 「失語」とは、自ら意味のある言葉が出にくい、また聞いた言葉を理解しにくい状態です。狭義には、脳血管障害で生じることがある、発語に関係する神経機能が障害されたことによって起こる「構音障害」は除外します。

 「実行機能障害」ですが、「実行機能」とは人がある状況に置かれたときにその状況を観察し、総合的に判断し、ふさしい行動をとる機能のことですが、これが障害されている状態です。アルツハイマー病の初期に現れやすい状態です。

 「社会生活に支障をきたす」ですが、上記の 1 と 2 のために家庭生活、社会生活、あるいは集団生活がうまく営めなくなる状態のことです。運動や視力の障害によって生じる生活の支障は含まれません。「身体的な原因がある」とは、上記の状態の原因として主に脳の血管や細胞の変化による器質的な原因があるということです。アルツハイマー病では神経細胞そのもの退行性変化が、また血管性認知症では脳の血管の閉塞や出血が原因となります。このことから認知症医学的な検査を受けて初めて診断されるのです。

 「意識障害はない」とは意識がはっきりしている状態でのことで、軽度の意識障害がある状態では認知症と診断できません。また避けたほうがよいでしょう。また認知症によく似た状態ですが、意識障害が加わった「譫妄」という精神障害があります。

次のページは・・ 認知症は成人の病気である

キーワード: 認知症

この記事はいかがでしたか?感想を残そう!

この記事の感想は?

大賛成 0
賛成 2
中立 1
反対 0
大反対 0

== オススメ介護求人 ==

みんなのコメント

コメントをもっと見る

こちらの記事もどうぞ

  1. 該当する記事はありません
ページの先頭に戻る