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訪問介護の現場から−5. クレームの変化利用者編

自立支援をいちばんの柱に在宅で介護を支える。そのことを最大の基本としてきたはずのわが国初の介護保険制度だったが、制定後15年が経過し、利用者も事業所も、またそのまわりを取り巻く家族や、地域も、改めて見てみるとすごく変化していると感じる昨今・・。事例を挙げながらクレームの変化について思い起こしてみた。

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その1「そのような半ズボンは履かんといて!!!」

 入浴介助に入ったときの、Sさん宅での言葉だ。Sさんを担当するヘルパーはベテラン3名、交代で援助に入っている。介護計画では入浴介助には二人がかり、狭いお風呂では汗みどろになるケースである。

 お風呂ではもちろん裸足であるが、長いジャージを履いていたりすると、たとえ裾を折り曲げていても濡れてしまい、後が大変だ。ヘルパーがお風呂の中に足を入れる必要時などは、何よりも利用者さんの安全を考え、スムーズな対応ができるようにと、通常ヘルパーは毎回短パンのジャージを持参し、それに履き替えてお世話をしているし、どの事業所でもそうしていることと思う。

 なのに、Sさんはそれを見て、「みっともない、膝を出すズボンなんて私は嫌い!」と言うのである。ただ単純に・・。

 コミュニケーションをとるために、何とか話して理解いただけるよう努力もしたが、ほかにも「あのような胸の空いたシャツはいやらしい」とか「あのような派手な色の服は・・」とか、ヘルパーたちは言われ続けているのだ。

 首周りの少し空いたシャツにしても、短パン同様、汗だくで介助をする間だけ身に着けるものだし、色彩も決してショッキングなものではないはずである。

 それに、事業所では当初から、自宅へお伺いする際、できるだけ近所にも目立たないようにと、あえて私服での訪問をしている。毎回伺うときも、もちろん清潔な服装を心得、派手で目立つようなものは避けることを、社内全員が認識している。

 

 皆は、非常に悩んだ。

 ここまで「利用者本位」を受け入れなければならないのか、本来の意味での自立支援と介助を行いたい私たちの「仕事の尊厳」は無視されてしまって・・と失望したヘルパーもいた。これ以上どこまで気を使わなければならないのか・・と。今までにないクレームのひとつである。

次のページは・・ その2「最低の事業所ですね!!」

キーワード: ヘルパー , 訪問介護 , 介護保険制度

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