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介護職の視点から考えた認知症鉄道事故判決

愛知県大府市で2007年に起きた認知症鉄道事故の控訴審判決が、2014年4月24日に出た。一審では約720万円の損害賠償金をJR東海に当事者の家族が支払うべき判決であったのに対し、今回の二審判決では、賠償金は約360万円に下げられたものの、監督責任を80代要介護1の妻一人に課し、長男に対しては課さない結果となった。この判決について、介護の現場に携わる一員として考えてみたい。

関連記事:認知症の人の鉄道事故判決に対する遺族側の控訴をどう見る? - 「当事者の希望する生き方」と法の狭間で

監督責任をどう考えるか

 今回の鉄道事故の内容を整理してみる。新聞各社がこの記事をまとめているが、私自身としては、事故の背景を再確認するうえで最も情報が整理しやすかった中日新聞の記事をベースに考えてみたい。

一審判決についての記事(中日新聞:2013年9月29日) http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20130829075709905

 この裁判について、実際にすべての情報が手元にあるわけではなく、知り得た情報の中での意見となるため、判決を行った裁判長の判断に対しては一定の理解と敬意を払ったうえで、多くの当事者・介護家族・介護業界関係者の方が発言しているように、賠償の金額に対してではなく、「賠償すべき」という判断根拠に理解しがたい疑問を私は感じている。

 裁判における争点で、私が一番関心があるのは、認知症の夫に対する監督責任についてだ。

 私が知りうる限りの情報では、この妻・そして長男家族は、亡くなった男性の介護を十分に取り組んでいた。専門職としては、そう客観的に感じている。十二分にやってきたと思わずにはいられない。

 80代の妻は要介護1と言われている。故人の夫は要介護4で、週に6日デイサービスに通っていた。男性がいなくなったのは、デイサービスから帰宅した後の出来事である。妻は不在ではなく、同じ家の中にいた。同時刻、その家には長男の嫁もいた。いなくなる前には共にお茶を飲んで過ごしている。

 もちろん、男性の一人歩き(あえて徘徊という言葉は控えさせていただきます)は今までにもあり、黙って出かけないとは限らない。そのため気づけるように、センサーも設備として付けられていた。

 当時、もし、故人が落ちつかない様子であれば妻はうたた寝などできなかっただろうし、長男の嫁も外に出ることはなかっただろう。当然、センサーのスイッチも入れていたであろう。だが、センサーのスイッチを切っていたということは、それだけ、緊張感を必要とする状況ではなかった、平穏な状況であったと推察できる。

 だからこそ、家族としては悔やんでも悔やみきれない。「まさか!」という心境であろう、と私には思えてならない。

次のページは・・ 二審でくつがえった長男への監督責任

キーワード: 見守り , 認知症

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