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従事者の虐待を「加速」させるもの

愛知県名古屋市の介護施設で、職員3人が入居者に暴行した容疑で逮捕されました。容疑者の一人は、暴行の様子をスマートフォンで撮影していたといいます。ちなみに、この施設は未届けの有料ホームで、こうした行政の目が届かない環境下での問題の根は深いといえます。さまざまな観点から、こうした虐待ケースを防ぐための方策を考えてみます。

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「密室」となる未届ホームが虐待の温床にも

 厚労省が毎年実施している「高齢者虐待に関する対応状況等の調査」によれば、最新の平成25年度調査における「養介護従事者等による虐待」の件数は、虐待と判断されたもので221件にのぼります。前年度が155件だったので、年間66件の増加(+42.6%)となります。養護者(親族など)による虐待件数に比べればわずかですが、こちらが頭打ち傾向にある一方で、従事者による虐待件数の増加が目立つ結果となっています。

 ただし、これは市町村が相談・通報を受理したもののうち、虐待判断にいたった件数に過ぎません。今回のケースのように未届ホームなどで密室状態となり、しかも身近で気づく親族などがいない場合もあることを想定すれば、潜在的な虐待ケースはまだまだ増えることも考えられます。国は「自治体による未届ホームの把握が進んでいる」としていますが、行き場所のない要介護者の受け皿自体が急速に増えている可能性もある中では、実態調査をさらに加速する必要があるでしょう。

職員への倫理教育はどこまで効果があるのか

 今回のような事件が起こるたびに、職員の倫理観や人権意識をどのように高めるかが課題として上がります。しかし、今回容疑者となった職員のように25歳以上となれば、社会的な倫理観などはある程度完成されています。こうした年齢から、事業所・施設で教科書的な人権教育などを行なっても、大きな上積みをほどこしていくことは難しいでしょう。

 大切なのは、個々の職員の倫理観が「ある程度固定されている」ことを前提としたうえで、1.足りない部分を組織としてどう補っていくか、2.非倫理的な部分が(一時的にでも)拡大させないような環境をどうやって整えていくかという点です。サービス提供の主体としてのリスクマネジメントの問題といえます。

 たとえば、若い世代と接していると、一人ひとりはやさしく、礼儀正しいケースが目立ちます。ただ、「その場の空気に過剰に順応する」という傾向を感じることがあります。つまり、行為自体の良い・悪いにかかわらず、集団の流れに乗ることへのリミッター(抑止力)が働きにくくなる瞬間が生じるわけです。

 今回のような事件も、容疑者のうちの一人でも「この行為はおかしいのではないか」という意思表示があれば、ここまでエスカレートしたでしょうか。言い換えれば、その場の「流れ」に無抵抗となることが、事態をさらに悪化させるリスクとなってくるわけです。

次のページは・・ 地域単位で「未届」の実態把握を加速させる

キーワード: 事件・事故 , 人材マネジメント

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