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揺れる「ケアマネジメントの原点」

介護支援専門員協会の設立10周年式典で、介護給付費分科会の座長などを務める田中滋慶応大学名誉教授による講演が行われました。そこで、田中氏から「これからのケアマネの役割」についての方向性が示されています。地域包括ケアシステムの構築に向けた国の施策が加速する中、現場のケアマネの視点で「これから何が大切になるのか」を考えてみます。

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介護の原点とは「自己マネジメントの継続」

 まずは原点に立ち返ってみます。介護保険法第1条では、同法の目的として「(要介護者等が)尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができる」状態を示しています。ここで重要なのは、やはり「尊厳の保持」です。何をもって尊厳の保持とするかは多様な見方がありますが、その人が「自分の人生・生活はこうありたい」というビジョンを自ら描き、その道筋が自己決定できる状態にあるというのも一つの視点です。

 私たちは本来、人生や生活のあり方を自己マネジメントしながら生きています。それは、自分の欲求に従うというだけでなく、「社会に生きる者としてこれをしなければならない」という義務や貢献を意識しての自己決定も含まれます。そうした広義のビジョンを含めて、それらを実現するにはどのような手順や手段」が必要なのかを考え、それを調整していくというのが自己マネジメントと言えます。

ケアマネジメントが支えているものは何か?

 しかし、身体に何らかの障害が生じたり、認知症によって周囲との折り合いがつきにくくなると、自己マネジメントを行なううえで、多様な課題を解決しなければなりません。単独でそれらを解決していくのは困難であり、そうなると「できない」というあきらめが生じてしまいます。そこで自己決定の道は閉ざされ、尊厳の保持が難しくなるわけです。

 そこで、本人になり代わり、その人が自己マネジメントを継続できるよう、課題を解決する支援策が必要です。その支援策がケアマネジメントであり、それを担う立場の一人がケアマネという位置づけとなります。

 そこで考えなければならないのは、当事者が自己マネジメントを進めていく場合、地域環境が変化する中で、「障害などの自己要因」だけではないハードルがいくつも生じてくることです。たとえば、「入院期間が短縮される中で、一定の療養ニーズを抱えながらの在宅生活が必要になる」という状況は、自己の疾患もさることながら、医療側の環境変化という周辺要因も絡んでくることになります。

次のページは・・ 自己マネジメントと財政マネジメントの壁

キーワード: ケアマネジメント , 介護保険制度 , ケアマネジャー

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