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財務省の「通所叩き」の落とし穴

6割強の認知症者への機能訓練はどうなる?

 介護保険の目的は、利用者の「している生活」を広げ、「していた生活」を取り戻すという道筋をもって達成する自立支援です。機能訓練は、あくまでその手段の一つにすぎません。逆に言えば、その部分だけの締め付けを強化した場合に、自立支援に向けた道筋がゆがめられてしまう恐れも出てきます。

 たとえば、要介護1・2で認知症日常生活自立度II以上の人は、ともに65%を超えています。それらの人にADL向上を目的とした機能訓練をほどこすなら、BPSDの改善をていねいに図ることが必要です(ちなみに、通所リハでは、そのあたりを考慮した報酬体系となっています)。そのためには、本人がスタッフとの信頼関係を築き、「そこが自分の居場所である」という安心感をていねいに築くことが必要です。安易な減算措置は、その本人のペースを崩す危険も生じ、そうなれば「BPSDは改善しない」「機能訓練も進まない」という本末転倒に陥りかねません。

 認知症の人に限らず、自立に向けた機能訓練は、本人が「自らそれをやる」という意向に向けた環境を整えることが必要です。そのためには、財務省が問題視する「居場所づくり」も一時的には必要になることがあります。それは介護現場が「心と体が切り離せない」という人間を相手にしているからであり、訓練の形だけを要件とした減算措置が適用されれば、その根本も崩れる恐れがあります。

 まさか財務省は、人間を機械的なメンテナンスで事足りるロボットと勘違いしているわけではないでしょう。厚労省側の介護保険部会としては、財務省側の議論に惑わされず粛々と議論を行なってもらいたいものです。

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キーワード: 政府 , 介護報酬 , デイサービス

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