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要支援者の重度化防止に黄信号!?

介護給付費の実態について、最新となる2017年度(17年5月審査分から18年4月審査分まで)の調査結果が公表されました。17年度は介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)が全市区町村でスタートしたことにより、受給者数などに変化が生じています。

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介護保険の受給者数が減少した背景とは?

 まず受給者数を対前年度(16年度)比でみると、年間累計受給者数で-3%(約185万人減)、名寄せをした実受給者数で-1.6%(約9万7000人減)となっています。一号被保険者(特に75歳以上の後期高齢者)が増え続ける中では、不思議に思われるかもしれません。これは、冒頭で述べたとおり、予防給付の受給者のうち(17年度からすべての市区町村でスタートした)総合事業に移行したケースが除かれていることが要因となっています。

 もう少し具体的にいえば、以下のようになります。予防給付のうち、予防訪問・通所介護(および両サービスのみの利用者に対する介護予防支援)が総合事業に移行したことで、特に要支援の累計受給者数の減少が際立っているわけです。ちなみに、総合事業も介護保険の財源が使われています。つまり、今回の調査結果をもって、介護保険全般のニーズが減少したとは言えない点には注意が必要です。

 こうした比較しにくいデータが提示された場合、問題となるのは、「介護保険による(特に軽度者に対する)自立支援効果がどれだけ上がっているのか」が読みにくいことです。となれば、先般公表された介護保険事業報告における年度別の要介護・要支援認定者数との照合が必要です。ただし、こちらは16年度が最新となり、給付費実態調査と比較・検証できる環境が整うのはまだ先となりそうです。

次のページは・・ 17年度に限れば要支援者の重度化が目立つ

17年度に限れば要支援者の重度化が目立つ

 上記のような事情の中、今回の給付費実態調査内での気になるデータをとりあげましょう。それは、要介護・要支援状態区分別にみた年間継続受給者数の変化別割合です。わかりやすくいえば、調査対象となる1年間で継続して介護給付・予防給付を受けた人のうち、重度化・軽度化・維持の人の割合がどうなっているのかを示したものとなります。

 このうち、総合事業との兼ね合いが問題となる要支援認定者に注目します。具体的には、要支援1のうち「重度化した人」がどれだけいるか、要支援2のうち「重度化・軽度化した人」がどれだけいるかという点です。

 過去の調査(12~16年度)を見ると、(1)要支援1で重度化した人は約32%前後で落ち着いています。次に(2)要支援2で重度化した人は、21~22%とこれも推移上の大きな変化はありません。(3)要支援2で軽度化した人についても10~11%の範囲内となっています。

 ところが、今回の17年度調査になると数字に変動が生じています。(1)で重度化した人は35.5%へと上昇、(2)で重度化した人も24.7%に。逆に、(3)で軽度化した人7.7%で1割以下へと大きくダウンしています。これだけを見ると、この1年に限って要支援者の重度化が進んでいることになるわけです。

予防訪問・通所は重度化防止に貢献してた!?

 ちなみに、このデータでも注意が必要です。先に述べたように、予防訪問・通所介護と予防支援の一部が総合事業へと移行しているわけで、その利用者を除いた数字となります。その場合、予防訪問看護や予防訪問・通所リハなど、医療・看護系のニーズが高い利用者が中心となり、そのことが重度化傾向を推し進めているという仮説も成り立ちそうです。

 ただし、要支援認定を受けている条件は同じであり、そうなると予防給付に残されたサービス自体の重度化防止効果に疑問符がつくという見方も生じるでしょう。もっと言えば、総合事業に移行した予防訪問・通所介護が、少なからぬ「重度化防止の効果を上げていた」という可能性にも言及しなければなりません。

 仮に、後者の仮説が信ぴょう性を帯びてくれば、「予防訪問・通所介護を総合事業に移行させた」ことで、逆に介護保険財政を圧迫する要因が増えたのではという議論にもつながりかねません。(もちろん、予防訪問・通所介護が外れたことで、母数が変わっていることも考慮する必要はあるでしょうが…)

 いずれにしても、今回の調査結果を受けて、改めて「総合事業の重度化防止効果はどうなっているのか」という詳細かつ最新のデータが求められます(現行の最新データは16年4月段階まで)。介護保険部会の議論が加速する前に、照合できるデータを取りそろえることが正しい議論の前提となるはずです。

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キーワード: 介護予防 , 介護給付費実態調査 , 介護保険制度

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