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認知症行方不明者が年間1万人に

2014年5月14日、衆議院の厚生労働委員会で、医療・介護保険制度改革の一括法案が与党の賛成多数で可決されました。この件については、次回の記事で取り上げたいと思います。今回取り上げるのは、その厚労委員会で注目を集めた警察庁のデータについてです。それは、認知症が主な原因となって行方不明になった人の数が、昨年1年間で1万人を超えたというものです。そのうち、死亡が確認された人は390人にのぼっています。

実際は、統計以上に多い可能性も!?

 警察庁では、毎年1年間の「行方不明者の状況」を発表しています。その中には、行方不明者の原因・動機別の数も示されています。平成24年分から、この原因・動機の中に「認知症」が加わりました。初年となる平成24年では、この認知症によって行方不明になった人の数は9,607人で、うち死亡した人は359人でした。まだ2回目ではありますが、すでに右肩上がりの兆候が現れています。

 また、行方不明者全体での比率を見ると、認知症が原因のケースは、平成24年分だけで1割にのぼります。割合的には、「事業・職業関係」を原因としたケースとほぼ同じです。

 認知症が原因で行方不明になるケースとしては、「家を出ていくこと(徘徊)」によるもののほか、「日常生活の延長(買い物など)として外出したまま、家に戻れなくなる」パターンも含まれます。後者の場合、本人が認知症であることに家族などが気づいていないこともあり、「認知症が原因」という認識に至らないままとなる可能性もあります。つまり、「認知症が原因による行方不明」のケースは統計以上に多いことも考えられるわけです。

徘徊を完全に防ぐのはプロでも難しい

 国は認知症の初期診断に力を入れようとしていますが、どんなに初期段階からBPSD(行動・心理症状)の悪化を防いでも、徘徊を防ぐのが難しいこともあります。実際、グループホームなどでも、普段落ち着きを見せている人が、ぶらりと外に出て行ってしまうケースがあります。心理状態が落ち着いていたとしても、本人にとっての「何らかの目的」が衝動的な行動に結びつくこともあるからです。

 この点を想定した場合、「出ていくのを完全に防ごう」というのは限界があります。むしろ、「出るのを防ごう」という意図が強すぎると、本人の中に心理的な閉塞感が生じ、「この場所に閉じ込められている」という心理が浮かびやすくなります。「本人のためを思って」という意図が逆効果になってしまうわけです。

 プロの介護現場であれば、「本人が出ていく」という行動を示したとき、あえて制御せずに「職員がつきそう」という方法をとることができます。外出をして外の空気を吸い、心理的な開放感が生まれることで、本人の不穏状態なども緩和できる効果があります。

 しかし、人手の足りない介護現場や一般の家庭では、「いつも誰かがつきそう」のが難しいケースもあるでしょう。何らか原因で夜間せん妄などが激しくなったりするケースでは、「夜間のつきそい」が常態化することで、介護者側の心身の疲れがたまりやすくなります。

次のページは・・ 「SOSネットワーク」を構築するためには?

キーワード: 認知症

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