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介護職員の人材育成の現状と課題 vol.1

介護保険制度施行から15年を迎え、介護人材は高齢化率に比例して順調に増加してきたが、2000年を境に、離職率が高まる傾向を見せ、高齢者人口がピークに達する2025年に向けて大きな不安を残している。人材育成と教育の現場に携わる筆者から見た「介護人材とは?」について考える。

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今後、介護職員の増加は見込めない

 介護職員の数は、介護保険創設時(平成12年)に約55万人であったのが、平成24年の時点で約169万人と12年で約3倍になりました。1年で約9万人ずつ増えてきた結果となります。

参考:厚生労働省 第2回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会資料 平成26年11月18日

 これだけ見ると、量的整備が進んでいると言えるかもしれません。

 団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる平成37年(2025年)には、237〜249万人の介護職員が必要となる、と厚生労働省は叫んでいます。年に9万人ずつ増える計算でいくと、13年後には約100万人以上増加するはずですから、たしかに足りることにはなります。

 しかし、2000年ごろを境に日本の人口は減少の一途をたどり、ご存じのとおり、若年層の人口が減っていきます。そのため、労働者人口は今後増えることはなく、介護職員の増加が計算通りになるのは難しいと思われます。

次のページは・・ 離職率は全産業と比べても多い

離職率は全産業と比べても多い

 そこで問題なってくるのは、介護職員の離職です。平成24年の離職者約22万人のうち、他産業へ出て行く人は13万人と、半数以上は介護現場を離れてしまうのです。平成23年には介護職員の離職率は16.1%で、全産業の14.4%に比べ上回っています。

 その理由として、厚生労働省は、「規模が小さな事業所では、規模が大きな事業所に比べて、研修支援といった能力開発への取組を行っている割合が少なく、離職率も高くなっている」と述べています。そしてその対策として、「介護報酬における介護職員処遇改善加算の創設による介護人材の処遇改善」や「介護職員初任者研修の創設や認定介護福祉士の仕組みの検討によるキャリアパスの形成」を挙げています。

参考:厚生労働省 第45回社会保障審議会介護保険部会 平成25年6月6日資料『介護人材の確保関係』

 つまり、介護職員の処遇改善に研修支援や能力開発が必須であるということを述べているのです。研修支援とは外部研修に行くことや外部講師を招聘すること、能力開発とはキャリアアップのための研修のことが思い浮かびます。

次のページは・・ 介護技術の研修は多く行われているが、正しい介助方法は伝わっていない

介護技術の研修は多く行われているが、正しい介助方法は伝わっていない

 この研修支援については、まず介護業務の基本である介護技術の習得が挙がるのでないでしょうか。

 介護現場では、職場内教育も含めると、誰しもが必ず何らかの教育を受けて介護技術を提供しています。最近では、さまざまな技術を伝えるための研修が、各地で行われていますが、その多くで耳にするのは、「あなたの知らない技術を伝えます」や「今までの介護技術とは違います」といったキャッチフレーズです。

 しかし、技術さえ学べば、本当にすべての現場において質の高い援助技術が提供されるのでしょうか?

 決して、介護技術の研修を否定しているわけではありません。ですからここで、誤解のないように言っておきますと、そこで伝えている技術に間違いはないですし、むしろ正しい技術を伝えているといえるでしょう。

 しかし、多くの研修が行われ、実際にそれに参加されている方も多い中で、なぜ現場では、現状として、利用者の残存能力を活かさない介助を続け、ボディメカニクス(力学的原理を活用した介護の方法)を意識しない、自分の体を痛めつけるような介助が横行しているのでしょうか。

 そのような介助を続ければ腰痛を引き起こし、利用者のちからを引き出すことがない介助を続けることで、からだもこころも疲弊して、離職へとつながってしまいます。

 そういった現状を打開しようと研修に参加しているのにも関わらず、なぜ、現状は変わらないのか。その答えは簡単です。

 『現場は研修と違う』からです。本質的な課題はそこにあるのです。

 次回はその課題について述べます。

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キーワード: 離職 , 人手不足

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