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『かいごの学校からP.E.I.P.まで』インタビュー前編−介護職をサポートし、エールを送り続けたい!

高齢化が進む日本社会において、不可欠な介護現場の仕事。しかし、労働条件がきついことや、専門性を認めてもらいにくいことが悩みになって、転職や離職をしてしまう人が多いのも現実だ。聖徳大学 心理・福祉学部 社会福祉学科 准教授で介護労働学を専門とする篠崎良勝さんは、そんな介護職の人たちに、介護労働を研究する立場から後方支援したいと考えてきた。シンクタンク勤務、雑誌『かいごの学校』初代編集長、そして青森の八戸学院大学から千葉の聖徳大学へと、さまざまな勤務先を経験し、現在に至るなか、「介護職の専門性を具体的に「見える化」から「見せる化」して証明し、よりよい雇用や地位の向上に貢献したい」と方法を模索、学生に対する介護教育の場を通じて、幅広く発信を続けている。

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まずは家族の理解を深めるために調査を

―篠崎さんの研究領域は、介護職と医療行為、利用者やその家族によるケアハラスメントの問題、介護労働の実態調査など、介護職の働き方を中心にされています。これらのテーマを選ばれた理由は何ですか。

 自分の家族の中に介護関係者がいたのが大きな理由です。仕事には使命感を持っていたようですが、人間関係の悩みが多く、労働環境の面でも過酷に見受けられました。シフトがうまく組めなかったからと、長時間勤務をしたり、突然の休日出勤などもよくあって。意欲はあるのに疲弊していく労働状態と取り巻く環境が、とても気になったんです。

 全員がそうというわけではないのでしょうが、ほかの介護職の方からも同様の悩みを聞くことが多く、介護職の労働実態を調べてみたいと思ったのがきっかけです。

―調査にあたっては、かなり大きなデータを取られますね。

 まずは、実態を正確に知るという目標があります。それには、10人に聞くより100人、100人に聞くより1,000人のほうがいい。私自身は現場経験がなく、実態を肌で感じることが少ないので、なおのこと、多くの人のデータを集めたいと思うのです。

 調査には自由記述も多く設けています。たとえば、「介護職に就いたことで、家族との関係が変わりましたか?」という設問をつくる。すると、「勤務時間が不規則で、家族と一緒にいる時間が減った」「夫婦の会話が少なくなった」「子どもから『もっと私を見てほしい』と言われた」などという記述が見られる。また、こうした意見とは別に、介護職の方に実際に会ってインタビューもして、声を集積します。数としての調査結果に、こうした生の声を組み合わせ、客観的データを私個人の主観的データに置き換えるのが私の調査のあり方です。

―調査の中からは、介護職ならではの、過酷な家族関係も見えてきます。

 仕事のことを一番理解してほしい家族にさえ理解してもらえず、孤立している姿が浮き彫りになります。「介護職はもっと社会的地位が向上すべき」と思うわけですが、社会的地位は、周辺理解から生まれます。それなのに、一番身近な周辺理解、つまり家族の理解が得られなければ、周辺理解は進んでいかない。非常に苦しいでしょうね。そうした苦しい立場にいる介護職の方たちのサポーターとなって応援し、もっと幸せになっていただきたい。調査のゴールはそこにあります。

―学術的調査を通じて、介護の世界で働く人を応援するということですね。

 そうです。さきほども言ったように、私は介護の現場にいるわけではないので、介護の核の部分を実際に手伝うことはできない。ならば、介護職の周囲を衛星のように回って見守り、提案し、応援していきたいと思います。

 本来、労働実態がよければ、私のように「労働実態が過酷であることを周囲から応援する」人間など、必要がないわけです。ですから、私の仕事の目標は、私の仕事がなくなることですね(笑)。しかし、残念ながらまだ解決していない問題がたくさんありますから、いろいろと手がけることは多いです。

次のページは・・ あらゆる世代の介護職を巻き込んだ勉強会『かいごの学校』も実施

キーワード: 介護スキル , 人材マネジメント , アセスメント

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