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施設職員が考える、介護職員の健康観

2016-04-06

一般企業に勤務している方、自営業の方、飲食店勤務、公務員、身体を使う職業の方、または就労していない方や学生、スポーツ選手など、職種や立場によって、それぞれ違った健康観があると思います。慢性的な人手不足で年間約28万人が離職するとされる介護職員ですが、離職の背景にも、体調の悪化・腰痛・精神的疲弊など、健康に関わる理由が少なくないようです。「体調管理」とひと言で片づけてしまう前に、今回は離職の理由となる健康面でのリスク管理について考察してみました。

寝不足に気をつけ、感染症などにもかからないように、留意したい

介護職員に限りませんが、まず、基本として病気や怪我などをしないこと。これはほとんどの職業に当てはまるものかと思いますが、具体的にはどういうことでしょうか?

たとえば、寝不足のままで出勤すること。

睡眠が不十分な状態で、果たしてふだんと同様の介護ができるでしょうか。そんなときの自分自身が醸し出す雰囲気はどうでしょう。ダラッとした態度になっていないか。目つきが悪くなっていないか。

システムエンジニアが寝不足で業務をすることは、100歩譲って何とかなるかもしれません。眠い目をこすりながら、パソコンを鋭く睨みつけながらでも、ノルマはこなせるでしょう。

しかし介護福祉職は、この点が違います。必ずご利用者という相手が居ます。「寝不足でも大丈夫」と自分が思うのは勝手ですが、ご利用者は、それをどう感じるか? 不可抗力の寝不足ではなく、夜遊びや自己都合での寝不足であれば、そこは改善すべきだと思いますし、寝不足が招く疲労・免疫力の低下、結果的に風邪などの病につながる可能性が高くなるでしょう。

寝不足や風邪気味の状態で、ご利用者の日々を支えるための適切な判断が行えるのか、耳を傾けることが確実にできるのか。そのような状態では、勤務中でもきっと、「疲れないための調整」として、深層心理でその気はなくとも、手を抜いてしまう恐れがあります。

ふだんどおりの介護ができない場合、体調管理不足と言われても仕方がないですね。

さらに病気。特に感染症に関しては、自分自身が媒体となる可能性もあります。インフルエンザ・ノロウイルスや、疥癬のダニなど、万が一、介護職員からご利用者へ拡散してしまっては目も当てられません。極端な話かもしれませんが、閉鎖的な施設勤務においては、感染症などに対して、最大限留意する姿勢があって然るべきかと思います。

怪我……特に腰痛予防への意識啓発を!

次に、介護職員が怪我をしてしまうとどうなるか?

怪我の度合いにもよるでしょうが、まず、直接的な身体介護、移乗や移動支援、トイレや入浴の介助はできなくなるでしょう。

職員が動けない、すなわちご利用者を支える人員が不足し、介護を受けるべきご利用者に介護を届けることができなくなります。施設であれば助っ人が居るかもしれませんが、在宅介護の現場ではたちまち死活問題となります。

そして、この職に嫌でもつきまとうのは腰痛です。

腰痛の予防とは、ひと言で言えないほど、さまざまあると思います。腰痛にならないための介護技術の習得・練習はもちろん必要です。技術の大前提にあるのは、ご利用者の安心安楽と、自分の健康(腰痛)です。この「自分の健康のため」という部分に、まず興味を持つことが重要です。

腰痛については、予防の意識を常に持っておく必要があります。

日常生活の中でも率先して工夫するべきであり、たとえば、床に物を置かない習慣をつけること、やむを得ず床の物を拾うときは腰を曲げないこと、適度に身体を動かす、ストレッチ運動、筋力維持のためのトレーニングなどを心がけたいものです。

一般企業の営業職の方などは、自身のスキルアップのために、資格の勉強や英会話を習ったりすると、よく聞きます。プロ野球選手は、シーズンオフ期間中に自主トレをしています。

私が周囲から聞くスキルアップの話といえば、介護福祉士の資格の勉強や、認知症の知識の研修が主流です。もちろんそれらも大切ですが、我々介護職員は、自身の身体のケアに関してもっと真剣に考え、取り組んでいくべきではないでしょうか。

腰痛予防の自主的なトレーニングを行うべきですし、介護業界としても、もっと予防を啓発すべきです。

腰には、人それぞれにガラス玉があります。自身のガラス玉の強さを把握し、割れにくくするための工夫(磨く・鍛える)が必要です。何の工夫もせずして「あ〜、腰が痛いな〜」となっては、単なる自己責任と言わざるを得ませんね。

精神的疲弊「ストレス」とつき合うこと

目に見えない疲労「精神的なストレス」も、介護職員にとっては避けることができません。ですから、最も大切なことは、ストレスとどう向き合うか、だと思います。

悩み事があったり、ストレスを抱えること、それはだれにもよくあることです。しかしそのような精神状態でご利用者と関わると、どんなにストレスを隠そうとしても、ご利用者へ笑顔を向けていても、隠しきれず、表に出てしまいます。

苛立ちが言葉に出てしまう、態度や表情に出てしまう。自分ではそのつもりはなくとも、受け手であるご利用者はどう感じとるか。

そしてこれは職員に対しても同じことが言えます。

自分の精神状態が良くないと、職員同士でコミュニケーションを図る中で、必ず悪い影響が出てしまいます。情報伝達に支障をきたしてしまうことでしょう。

悩み事は人それぞれ必ずあります。苛立つことも人それぞれあるでしょう。それらをまず整理し、職場に持ち込まない努力と工夫を行うべきかと思います。解決できる問題は順次解決すること。難しい問題は持ち込まず、割り切る努力を。これらもまた、別の形での体調管理です。心の身だしなみを整え、ストレスとつき合っていくことは、介護職員にとって必須ではないでしょうか。

介護職員として大切なもの……それは自分自身の生活の充実

最後に持論となりますが、介護職員として自分自身の生活は、充実すればするほど良いと思います。ここでいう「生活の充実」とは、人生経験という意味です。

たとえば、介護職員が極端に閉鎖的な日々を送っていては、介護の場面でも閉鎖・閉塞といったマイナス面に引かれてしまうと私は思います。

交友関係・家庭・趣味・育児などを広く深く経験し、経験値という意味で充実した生活を送ることで、さまざまなご利用者に対するケアに幅が生まれ、場が潤い、介護職員のスキルアップにも直結するかと私は思います。広い人生経験はそれだけで武器になるのです。

現代の介護福祉現場はソーシャルワーク、介護職員は専門職としてさまざまなことを求められる時代となっています。介護福祉の専門学校を卒業した職員も居れば、まったく別の他職種から転職された職員も居てもよし。見識を深める術は、常に「外」にあるのですから……。

年齢を重ねること以外の人生経験を、自ら得ていく姿勢。

生活を充実させる姿勢は、介護職に限らず非常に有意義なことかと、私は思います。

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