介護職の想いをつなぐ介護職のウェブマガジン

介護現場のさまざまな記録。留意することは・・・

ご利用者の一日の様子、排泄チェック表、食事チェック表、入浴や居室清掃など…。介護の現場で職員は、実に膨大な量の「記録」を作成しています。介護福祉施設においては、ご利用者の必要最低限の情報の把握・記録は必要不可欠なことでもあります。近年、ICT技術の向上により、タブレット端末を導入している介護現場も多く、ペーパーレス化も進んできているようですが、情報を把握するにあたり、実際どのような記録方法が適しているのか。職場によって、個人によって、捉え方はさまざまかもしれません。

関連記事:介護福祉職におけるモラルとコンプライアンス

関連記事:介護・福祉職が受ける研修の捉え方

関連記事:気持ちの良いコミュニケーションのために

記録をどう考えるかと、その種類について

 介護福祉施設を利用されているご利用者についての、必要最低限の情報の把握・記録はあって然るべきですが、そもそも「人が人を記録する」という行為は特異なことだと、個人的には感じます。記録する=管理するという構図を描いてしまいがちであり、それゆえ、ご利用者と職員の関係性に錯覚が生じてしまう原因の一端に成り兼ねない、と感じるからです。

 記録は少ないに越したことはありません。

 自由にトイレに行き、自立した生活をされるご利用者に関し、24時間レベルのみっちりした記録は必要でしょうか? 規則的によく眠っている方に対し、睡眠チェック表は要りますか?

 実地指導や監査のために必要とされる記録項目があるのも事実ですが、私個人としては、記録物は少ないに越したことないと考えます。

 しかし、働く上での記録はやはり必要です。なぜ必要なのか? 考えられるポイントをまとめてみました。

 ひとつは、すでに述べた職員間の情報把握「コミュニケーションツール」としての役割です。そしてもうひとつは、職員が職員に伝えるための「残す記録」です。

 個別ケアを行っていると、状態が変わったときの様子や、これまでとは違った日常を送るご利用者の様子を次の職員にどう伝えるか。もしくは、体調が著しく悪くなられている様子を、どのように伝えるべきかが重要になってきます。

 また、連休明けの職員へどう伝えるか。異動してきた職員、新人職員、ひいては面会に来たご家族へどう伝えるか。交代勤務であり、人事異動もある私たちの仕事において「ご利用者のことを他者に伝える」ということは常に念頭におくべき事項です。口頭の伝達だけでは限界があり、すべてを伝えきれません。

 そして、ケアの評価や会議の記録、病院受診の結果、事故等のアセスメントなど、他者へ伝えるために残す記録というものは、先述の「コミュニケーションツール」としての記録とは少し違うものとなります。

 これらの役割を理解し、上手く使い分けながら、適切な記録を行うべきかと思います。

公的な記録とそうでない記録 メリット・デメリットを捉え、使い分ける

 ケース記録と呼ばれるPC入力による公的な記録は、最もひんぱんにつけられている記録項目です。ご利用者の身に起こるすべてのことをここに記入し、全職員が閲覧します。出勤前には必ずケース記録を確認し、情報を整理した状態で現場へ入ります。

 PCのシステム上で管理されるケース記録は、ご利用者の基本データは元より、介護日誌や事故報告書など他の記録とも連動するので、利便性が非常に高いものです。施設内のPCであれば、ソーシャルワーカーや医務など、多職種がどこからでもご利用者の情報を閲覧出来るシステムは、これ以上ないメリットです。また、タブレット端末ともリンクすると、ほんの数秒の空いた時間内で、チェック項目を埋めるだけで記録が完成するため、時間的にも効率が大きく上がります。

 しかし、PCやタブレットなどが苦手な職員も存在し、記録の入力や閲覧に対し億劫に感じたり、入力の速度(タイピング)が課題となっていることもあります。PCの置いてあるスペースがフロアの外である場合、フロアに介護職員が一人しかいないときは、リアルタイムでの記録が行えません。

 また、細かい入力方法が職員によって曖昧であったり、入力すべき事案かどうかの判断が職員によって異なり、個々のさじ加減で行っていることもあります。こうした背景には、マニュアルが浸透していないということが挙げられ、職員それぞれが「こう入力しておけば問題ないだろう」と入力している現状が問題です。

 また、ケース入力が単なる作業・惰性となっている側面も否めず、ケース記録からケアを進めよう、何かを得よう、という意識を持つことが求められます。

 次に、PC入力ではなく、フロア単位で大学ノートなどによる申し送り帳を使用している所も多いのではないかと思います。

 このような紙ベースの連絡帳は、公的な記録ではないという強みを持ち、多少くだけた内容でも時として記載することが可能です。

 例えば、ご利用者A様が「お腹空いた、何か喰わせろ〜♪と歌を歌っておられた」とノートに記載するとします。公的なケース記録には「喰わせろ〜♪」という記述は不適切ですが、手書きノートにこのように記載することで、情景やニュアンスをより臨場的に表すことができますし、他者へも伝えやすいです。職員間で笑いが生まれれば、職場の雰囲気もほっこり和らぎ、良い効果が出るかもしれません。

 また、職員の主観的な観測も記載することで、ケアの成果がつかみやすくなります。

 ご利用者B様が「トイレへ行きたそうにそわそわされていた。4時間前に服用された頓服下剤の効果が出てきたのかもしれない…」と記載する。ここから、ケアの評価や下剤の評価、下剤を服用された際ご利用者へどう接するべきか等を考えることができます。

 主観的であってもメモレベルの事由をあえて記し、多数の職員が共有することで、思いがけない発見やアイディアが生まれる場合も少なくありません。

次のページは・・ 記録にこだわればこだわるほど、気をつけなければいけないこと

キーワード: 介護スキル , 特別養護老人ホーム , チームケア

この記事はいかがでしたか?感想を残そう!

この記事の感想は?

大賛成 1
賛成 0
中立 1
反対 0
大反対 0

== オススメ介護求人 ==

みんなのコメント

コメントをもっと見る

こちらの記事もどうぞ

  1. 該当する記事はありません
ページの先頭に戻る