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家族も支えたい

困惑するご家族への対応

 こうした高齢者のお宅にヘルパーとして訪問を開始すると、家族から「どんどん捨てちゃってください」などと言われます。本来ならゴミとして処分されて当然のものがたくさん家の中にあったのでは、家族もイライラしてしまうでしょう。また、来客があった場合などは、みっともないと感じることもあります。ヘルパーに依頼するまでにも自分たちでいろいろと試みたはずですし、それでも片付けられないのです。そのため、家族から困り果てて疲れている様子が伝わってきます。

 しかし、ヘルパーは本人の同意なしに物を捨てられません。たとえ傷んだ食品であっても、廃棄するのには難儀するものです。ですから「どんどん捨てちゃってください」という方には、まずこうお話します。

 「高齢者の方は、皆さんこうなんですよ」

 すると、家族は「他にもこういう人がいるんですか? テレビで見るような」などと言います。そう、先にも述べたように、家族は他の高齢者の生活を知りません。ご近所付き合いのある方であっても、家の中で毎日どのように暮らしているのかまでは分からないのです。ですから「自分の親が特別に変わってしまった」「おかしな行動をとるようになってしまった」と感じてしまうのです。

 そのため行動に違いがあったとしても、高齢者は多かれ少なかれ「どうしてそんなことをするの?」と感じる行動があるものなのだとお伝えします。そのうえで、明らかに不潔で危険なこと以外は、「少し目をつぶりませんか」と提案させていただきます。

 全てがそうではありませんが、子どもがたまに来ては「捨てろ」と言うと、高齢者側もやや意地になって「捨ててなるものか!」などと張り合っている場合も少なくありません。子どもたちは、親にできるだけ清潔で穏やかな生活を送ってほしいと思っているもの。しかし高齢者はできるだけ子どもに面倒をかけずに生きていたいと思っており、少しの価値観の違いからぶつかり合いが生じてしまいます。そんなときは不特定多数の高齢者、そしていろいろな家族と関わらせていただいているプロとして、本音部分が上手くいくようなお手伝いをしたいと心掛けています。

 契約して週に2〜3度と訪問させていただくと、なんとなく家族より身近で頼りになると思われがちです。しかし、どんな時でもヘルパーはあくまでも第三者。「最後は、やはり家族がいちばん頼りになるのですよ」とお話しし、また、態度でもそれを示すよう心掛けます。

 家族にはカンファレンスやその他面会ができた際、「親御さんはお子さんたちを誇りに思っていますよ」と伝えます。そして、物を収集したり何かに固執したりするのは高齢者にとって珍しいことではなく、その親御さんに限ったことではないためガッカリしないでほしい等と伝えるのです。

 そして、「淋しいことではありますが、あとどれくらいこうして家で暮らせるかわからないのですから、大きな危険がなければ、思い通りに生活していただいてはどうでしょうか」と。

 この提案を理解してくださる方、くださらない方は半分くらいずつでしょうか。それも当然のことだと思います。ただ、苦しい思いや大変な思いをしているのが自分だけではなく、そして親御さんが特別に厄介な高齢者ではないのだということは、必ず伝えなければならないと思っています。

 そのように、積み上げてきた経験をもとに助言できるような介護のプロが増えますように。そして、家族も支えていける介護職を目指せるように願ってやみません。

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キーワード: コミュニケーション , 介護家族 , ヘルパー

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