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老いを支える

今、日本は世界でも例のない長寿国となっています。そしてその特徴は、急激に平均寿命が伸びたことにあるでしょう。「人生60年」と言われていたのは遠い昔のことではありません。高齢者と呼ばれるのは65歳からですが、その方たちの親の世代は「人生60年」と言われた頃の世代。そして、その「子」に当たる世代は65歳からが第2の人生、高齢者と言われるのです。それほど短い期間に平均寿命が延び、高齢化が進んだということ。ですから、社会の仕組みがそれに追い付いてゆかないのも仕方ないことなのかもしれません。

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高齢者や家族はPPKを望む

 女性と男性では平均寿命に約10歳の差があります。しかしある統計では、女・男ともに人生最後の10年間は自力で生活できず、何らかの手助けやサービスを受けて寿命を全うするそうです。こうした手助けやサービスの中には、在宅で家族にお世話になるほか、介護保険を利用しての訪問介護やデイサービス、ショートステイ、老人ホーム入所期間、そして入院療養も含まれます。平均でということではあるものの、軽度から重度までさまざまな手助けを受けることとなるわけです。

 巷では、皆「PPK」 を望んでいます。つまり「ピンピンコロリ」ですね。昨日まで元気でいて、今日天国に召される。そんな人生の終末が希望なのです。これは、誰かの世話になり、家族に迷惑をかけて生活するのは辛いという理由があるのでしょう。認知症になってしまったのであれば、本人は手助けを必要としていることも、時には周囲に迷惑をかけてしまっていることも自覚がありませんが、親戚やご近所さんなどでそういう方と触れる機会があると、「PPK」 を望むようになるのです。それでは、少しでもその願いに近づいたなるべく迷惑をかけない生活を送るために、どうしたらよいのでしょうか。

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介護保険制度の改正による「支え合い」の変化

 今年度、2017年4月より介護保険制度が改正されました。今まで介護予防「要支援1・2」と認定されていた方々は総合事業対象者と名称が変わり、原則的には介護保険から切り離された形での扱いになります。それでも、ほとんどのケースはこれまで通りサービスを受けられるのですが、この「介護予防」という観点で高齢者と関わるのが、まさに「老いを支える」ということになるのだと思います。

 脳卒中や骨折等により、突然手助けが必要になってしまう方。年を重ねて、少しずつ自分のことを自分で行うのが難しくなってゆく方。いずれも、まだ自分でできること・したいことはありますし、そのための能力も残っています。

 足腰が弱って買い物に行くことは困難だけれど、材料があれば自分で調理ができる(したい)という人。逆に、昔から調理は任せきりで自分ではできないが、買い物に連れて行ってもらい好みの食材を自分で選んで、それを調理してほしいと思っている人。あるいは、入浴に介助は必要ないので自宅でお風呂に入りたいが、風呂を掃除できない人など。挙げればキリがないほどに、ほんの少しだけお手伝いすれば、まだまだ自らの能力を活かして自宅で暮らせる方がたくさんいるのです。

 しかし残念なことに、行政で行う制度にはいろいろな取り決めがあり、それが足枷になって「ほんの少しのお手伝い」ができないケースが目立っていました。今回の制度改正では、そうした部分をすくい上げていこうという動きが見られます。

 それと共にボランティアの養成も行い、「共助」の部分での支え合いに期待する部分もあります。かつては冠婚葬祭をはじめ、社会で暮らしていくために不可欠だった地域の繋がり。これが、核家族化が進んだことでプライバシーを気にするあまり、「隣は何をする人ぞ」的な社会になってしまっていました。これが、もう一度地域の繋がりを強め、共に支え合っていこうという考え方になりつつあります。

 超高齢化社会を見据えて始まった介護保険制度。「家の中のことは家の中で」という考え方から、高齢者も子どもと同じ、社会で責任を持って安心できる環境を整えることが理想だったのでしょう。しかし、当初の考え方や予想では掴み切れなかったことが数多くあり、施行から17年を経て方向を修正しているように思えます。

 病気だって「悪くなったら薬を飲めばいいや」ではなく「病気にならないようにしたい」と考えるはず。老いてきた人の生活も「悪くなったら面倒を見ます」ではなく、「どうしたら今できていることができなくならないか」「持っている能力を長く継続するには何を手助けすればよいのか」を考えるのが当然のことではないでしょうか。皆さん、ほんの少しの手助けがあれば、持っている能力を活かして暮らせるのです。

 人は順番に年をとっていきます。だからこそ「老いを支える」仕組みをよく考え、工夫してゆきたいものです。ピンピンコロリは極端な例えとしても、健康で年を重ねてゆくために。

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キーワード: 地域包括ケアシステム , 共助 , 介護保険制度

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