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完璧すぎる嫁〜自分の居場所がなくなる時・同居介護の難しさ〜

完璧なお嫁さん

 同居生活がスタートして、大きな変化があったのは食生活です。栄養士の資格を持つお嫁さんの作る食事は、味も栄養も見栄えも完璧です。高齢夫婦の生活ではお互いが好んでいる濃い味のおかずとご飯、味噌汁ということが多く土地柄もあってか塩分の多い食生活になっていました。

 脳梗塞の既往があるAさんの夫はいつも血圧が高めでした。しかし同居生活を開始してからは、お嫁さん自らが病院受診に同行して、降圧剤の量と食生活の改善を主治医に相談。そして半年後には、降圧剤の服用の必要がなくなるくらいに血圧が正常値になったのでした。Aさん自身も、近年は体重が減少傾向にあり体力も低下していたのですが、体重がほど良く増えて疲れやすさがなくなったようです。

 健康的な生活の基盤ができたところで、お嫁さんの提案でAさん夫妻がもっと元気になるように通所リハビリを検討。それぞれの主治医が必要性を示してくれたので、2人は介護保険サービスの利用開始に至りました。

家族なのに何も言いだせない心境〜何かを言うと「悪い人」になってしまう〜

 Aさんの夫は、お嫁さんが何でも快く完ぺきに行ってくれるので、高齢の妻も楽になりありがたいだろうと感じていました。お嫁さんへの感謝の気持ちを素直に表明するほどで、「ありがとう、本当に助かるよ。年寄り2人では暮らしていけないもの」と毎日のように口にします。

 Aさんの心境は複雑。「私には感謝の言葉なんてかけてくれたこともないのに」「若い時から横柄で、私と2人の時はわがままばかり言ったのに」と、ついつい感じてしまうのです。特に料理は、同居を開始してからはお嫁さんがすべて行っています。そのため、家族が「美味しい」と褒めるたびに「栄養士さんだし、かなわない」と感じてしまうのでした。

 漬け物を食べたくても塩分が多いので食べたいとは言えませんし、漬け方を教えるなんて到底できない状況。不満や要望を顔に出すこと、口に出すことは許されません。なぜなら、この絵にかいたような幸せな家族の中で意見を出すことは異を唱えるに等しく、夫が「いい人」になってしまった今、Aさんが「悪い人」になってしまうわけにはいかないからです。

次のページは・・ 幸せなはずなのにだんだん「孤独」になる

キーワード: 介護家族 , 要介護 , ケアマネジャー

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