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完璧すぎる嫁〜自分の居場所がなくなる時・同居介護の難しさ〜

新しい家族で取り組む畑作業〜ふれあいで家族が熟していく〜

 こうして日常の中で少しずつ変化を起こしながら、新しい家族の形が出来上がって行きつつありました。Aさんの思いやお嫁さんの戸惑いは、幾度となくケアマネジャーにそれぞれから「相談」や「ちょっと話を聞いてほしい」という形で寄せられます。

 ケアマネジャーも家族関係や夫婦関係にはなかなか不用意に対処できないので、時には息子さんや孫さんと情報交換しながら見守りました。ときには、孫さんが家族関係の緩衝材のような役割を果たしてくれたことも。そうして、言いたいことが少しずつ言える家族関係になっていったのです。

 お嫁さんは真面目で、完璧主義であること。また、そのことで人より悩むことが多く、人に対しても完璧な対応を望む傾向にあることを、Aさんも次第に理解していきました。

 お嫁さんには、同居生活が軌道にのったらどうしても達成したかった目標がありました。それは「家族みんなで畑仕事」をすることです。自宅の敷地内に広い畑が元々あったので、いよいよ皆で取り組みました。畑仕事ではそれぞれの個性が現れ、本当に微笑ましいものでした。

 家庭菜園の本で予習をしながら取り組むお嫁さん、リハビリの成果があって畑の水まきができるようになったAさん夫婦は互いに水をかける範囲を暗黙の了解で決めているようで、自分の「陣地」以外は水をかけません。しかし、その一方で草取り作業では広い畑全体を2人でどんどん抜いていきます。お互いに怒っているわけではありませんが夫婦の会話はありません。お嫁さんの目にはその光景が不思議でたまりませんが、それがAさん夫婦の自然な姿なのでした。

 ケアマネジャーの訪問時、収穫した大根で漬けた漬け物の桶を指さしながらお嫁さんは次のように言いました。

 「塩の分量を計測している最中にお義母さんが塩を手でむんずと掴んでさっさと入れてしまったの。びっくりです」

 その言葉を、Aさんは「大体でいいの、私が教えてあげるから!」と笑い飛ばします。そしてAさんの夫も「目分量でもいつも美味しい漬け物ができるから大丈夫だよ。ばあさんの漬け物は最高だぞ」と言ったのです。この言葉にAさんは大変満足そうに微笑み、お嫁さんは参ったなという表情をされました。

次のページは・・ 「時間」が解決してくれること

キーワード: 介護家族 , 要介護 , ケアマネジャー

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