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旨くはないけれど、お茶は自分で入れます〜若年性認知症の妻〜

18歳から64歳の間で発症する認知症は、総じて「若年性認知症」と呼ばれています。この若年性認知症という言葉の浸透で、「認知症は若い人でも発症する」という認識が少しずつ広がってきました。若年性認知症では不安や焦りでうつ状態になってしまったり、逆に暴力をふるったりすることも。家族が若年性認知症と診断されたとき、家族はどう向き合えば良いのでしょうか。実例から考えていきたいと思います。

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妻の異変

 63歳の時に若年性認知症(アルツハイマー型)の診断を受けたAさんは、夫と夫の母との3人暮らし。Aさんは長年の専業主婦です。2人の子どもたちは、それぞれ自立して県外で家庭を持っています。同居している義母は90歳を超えていますが、年相応の物忘れ、動作は緩慢な程度で身の回りのことは自分でできます。そして、性格的にも穏やかで物静かな人です。

 Aさんの最初の異変は、義母に対する態度の変化。長年の同居でトラブルなく過ごしてきたのですが、義母に対して一方的に乱暴な態度や言葉を向けるようになったのでした。そしてある日、動作がゆっくりな義母に対してイライラした様子を見せ、突然、背中をたたいてしまったのです。これを見て、Aさんの夫は「これはおかしい」と感じました。

 「そういえばこの頃電話の伝言ができなかったり、近所の友達にいじめられると怒ったり泣いたりしている。妻の様子がおかしい」

 そう感じて、遠方にいる娘さんに相談しました。そして、娘さんが地域包括支援センターに相談。医療受診の結果、若年性認知症の診断に至ったのです。

各種サービス支援の開始の方向へ

 Aさんの夫にとって、妻が認知症になるとは驚きでした。まして、高齢の母より先に認知症の診断が下されるとは……。

 包括の職員と娘さんで、どんどんこれからのことについて話を進めています。介護保険の申請をすることになり、ケアマネジャーまで登場しました。皆が自宅に訪問してきて、認知症について説明したり、Aさん自身のことや家族、環境のことを口々に聞いたりしてきます。介護保険サービスの説明や申請手続き、娘さんが帰省している間に認定調査を行うということで話が進んでいき、慌ただしさに目が回りそうです。

 加えて、Aさんが義母に対して乱暴な態度を見せることへの対応策として、少しでも距離をおくこと、また気分転換を図るという意味から、義母も介護認定申請をしてデイサービスの利用をすることに。そちらの方も併せて手続きが始まりました。

介護サービスが本当に必要なのか〜夫の想い〜

 Aさんの夫にとって、介護保険サービスの必要性がよく理解できないまま事は進んでいきました。確かに妻は、なぜか自分の母に対して暴言を吐いています。そして、母も怯えているのです。このことがキッカケになり、元気な母が気落ちして寝付いてしまってはたまりません。年齢からいっても、デイサービスの利用で気分転換をしたり、介助で気持ちよく入浴したりするのは、本人にも家族にとっても良いことです。

 しかし、問題は妻です。

 「妻は若年性認知症と診断されたが、介護保険サービスの利用でどうなるというのだろうか。妻は近所の人にいじめられていると思い込んでいて、外に出たくないと言っている。そして、家にいるときは自分のペースで家事をしている。食事を途中で作るのを忘れて洗濯物をたたみはじめたり、テレビに没頭したりしてしまうときもあるものの、本人も家族もそれほど困ってはいないではないか……」

 夫は、そんな風に感じているのでした。

次のページは・・ 妻はこのままでいい

キーワード: 在宅 , 介護家族 , 認知症

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