介護職の想いをつなぐ介護職のウェブマガジン

「ショートステイに行った方が良い」とは言うのに、「退院おめでとう」とは言ってくれない

介護保険申請のキッカケによく聞かれる脳血管障害の後遺症では、体に麻痺が残ることでこれまでの生活が大きく一変してしまうことが少なくありません。これは、後遺症である麻痺によって介護負担が大きくなってしまうと考えられるからです。このようなケースでは近年、退院後すぐに泊まりの介護保険サービスを利用してくことがとても多くなっています。ここでは脳梗塞後遺症のために左半身に麻痺をきたした夫を、妻が自宅で介護している実際のケースについて見ていきましょう。

関連記事:医療から介護へ、切れ目なくケアしていくために

関連記事:「今日初めて会話をした……」ケアプランにのらない信頼にこたえる支援を

関連記事:高齢者のリハビリについて

突然の脳梗塞

 飲食店を営むAさん。ある日、夫が脳梗塞を発症してしまいました。突然の病に倒れた夫はまだ75歳です。数年前まで大工として働き、いつも元気で体力には昔から自信がある夫。ここ2年くらいは、夫婦2人で季節ごとに山菜採りへ出かけるのを楽しみに、マイペースで暮らしてきました。そのため、まさか入院するような病に見舞われるとは思ってもいなかったのです。

 Aさんの夫は、後遺症で左半身を自分で動かすことができなくなってしまいました。Aさんは毎日、夫の面会のために病院に通います。ベッド上の夫は混乱と失意の表情。Aさんは夫を励ましながら、ショックな気持ちとこれから徐々に回復していくはずという期待が交錯していました。

 主治医の説明だけでは、夫がこれからどうなっていくのかがいまいちよく分かりません。そのため、お見舞いに行くたびに看護師やリハビリの先生を見かけては、「リハビリをしたら左(半身)も動くようになりますよね」と何度も確認します。

 しかしリハビリ専門職である理学療法士の評価では、「左半身は麻痺が残り、下肢装具を装着して麻痺側にピッタリと誰かが付き添えば、ゆっくり4点杖で短い距離を歩くことができる」というのがリハビリのゴールと示されました。それは、起居動作には腰を支えるなどの部分的な介助を常に必要とし、日常生活では車いすを使用するのを意味していました。

 病院のケースワーカーは介護保険の申請のほか、退院後はリハビリ可能な施設やショートステイに行ってみてはどうかとAさん夫婦に提案します。しかしAさんは、「夫は家に帰りたくてリハビリを頑張っているのだから家に連れて帰る、施設やショートステイには行かせない」という思いを強く表明しました。

自宅に帰れば麻痺は治る、そんな気がする

 Aさんが完全な在宅介護に拘るのには、理由がありました。それは、住み慣れた自宅に帰れば、夫の体は自然に動くだろうということを信じていたからです。

 当の夫はというと、毎日面会に来るAさんの前向きな思考に最初は半信半疑な状態。しかし次第に、「家に帰ったら病院のリハビリとは違う、嫌でも動かねばならない状況になるから案外麻痺も治っていくかもしれない」と思うようになっていました。この夫婦二人の思いは、根拠を求める専門職にとってなかなか理解しがたいものです。

次のページは・・ 支援する側だけが四苦八苦する不思議

キーワード: リハビリ , 医療と介護の連携 , ケアマネジャー

この記事はいかがでしたか?感想を残そう!

この記事の感想は?

大賛成 0
賛成 0
中立 0
反対 0
大反対 0

== オススメ介護求人 ==

みんなのコメント

コメントをもっと見る

こちらの記事もどうぞ

  1. どこまでできる?高齢者の旅行

    • ●0
    • ●0
    • ●0
    • ●0
    • ●0
    • 0
ページの先頭に戻る