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介護老人保健施設が抱える課題―在宅復帰・在宅支援は本当に利用者にとって喜ばしいものなのか

先般、次期介護報酬改定の大枠が決定し、その中で介護老人保健施設(以下、老健)における在宅復帰・在宅支援を従来以上に評価するといった内容がありました(平成29年12月18日通知 平成30年度介護報酬改定に関する審議報告より*)。従来の介護保険法においても、国の定めた在宅復帰率や回転率を超えた施設には報酬の加算や点数が高く設定されていましたが、その報酬が次期改定でさらに上乗せされるのではないかと思われます。そのため、老健の方向性や経営的な面からも、今後在宅復帰・在宅支援を推し進める老健が拡大していくことは容易に想像がつくでしょう。しかし、そこに入所している利用者はどうなのでしょうか? 家族や利用者は、よくある施設のイメージとして「入所したらそこに一生居ることが出来る」などと思いがち。そのようなニーズで老健に入所した利用者からすれば、在宅復帰・在宅支援を進める老健とはニーズが異なってきます。では、在宅復帰・在宅支援は利用者・家族から本当に求められていないのか。今回は、老健が担う役割である在宅復帰・在宅支援と利用者のニーズの差異について考えていきます。

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なぜ家族や利用者は施設利用を希望するのか

 家族や利用者の方々が、入居型施設の利用を希望する理由はさまざまです。しかしその中でも、特に多いのは「自宅で暮らすことが出来なくなったから」という理由でしょう。在宅生活が出来なくなった理由は、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 認知症の進行
  • 脳疾患による麻痺などによる身体レベルの低下 など

 それぞれ事情はありますが、共通しているのは「何かしらの生活機能が低下した」こと。そして機能低下するまでは、普通に在宅生活を送っていたケースがほとんどです。逆に言えば、出来なくなってしまった部分(機能)が再び出来るようになれば、もしかしたら、また自宅で生活出来るようになるかもしれないのです。

 施設を利用されている方の中には、「また家に帰りたい」と話され、一所懸命にリハビリされる方が少なくありません。また、施設という集団生活ではなく、自宅にて一人で自由気ままに暮らしたいと願う方もいらっしゃいます。やはり、もともとの生活基盤である自宅に帰りたいと思う気持ちは、当然なのかもしれません。

本当に暮らしたい場所はどこか

 では国が進める通り、在宅復帰・在宅支援は正しいのでしょうか。考えてみれば、一概にそうとは言えない部分も現実には存在しています。

 一例として、「家に帰ったらひとりぼっちだけど、ここ(施設)なら24時間365日誰かと一緒にいれる」「もし体調を崩して倒れた時、家庭だと不安だ」という利用者や「いくら元気になっても面倒を見続けるのは難しい」という介護者の声も少なくありません。やはり、全ての人が自宅で暮らすことを望んでいるわけではないというのが現状です。

 当たり前ですが、自宅で暮らすことを望む方と、施設で余生を送りたいと望む方両方の意見があります。人それぞれ、望むものは異なるのです。

次のページは・・ 在宅復帰・在宅支援を進める老健の役割

キーワード: 老人保健施設 , 自立支援 , 介護保険制度

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