日付:2009/03/24  カテゴリ[摂食嚥下・栄養管理]  閲覧数[13317]

ケアスタッフにもできる!摂食・嚥下の評価と援助

食べることには、3つの大きな意義があります。1つ目は栄養を体内に取り入れ、姓名を維持すること、2つ目は、活動するためのエネルギーを得ること、そして3つ目は、味を楽しみ、人との交流を楽しむなど、生活の質(QOL)を保つことです。いずれも人間らしく生きるために大切なことです。

戸原 玄(とはら はるか)先生:
日本大学歯学部摂食機能療法学講座 准教授。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科修了。
東京医科歯科大学歯学部付属病院 摂食リハビリテーション外来医長を経て、現職。
歯学博士。老年歯科医学会認定医。

第4回 もっと上手に食べてもらえる!口から食べている人の観察ポイントと改善の工夫

  口から食べている人に、むせる、食事に時間がかかる、肺炎を繰り返すなどの摂食・嚥下障害を疑う症状(第1回チェックリスト参照)が見られる場合、それが口やのどの機能の問題だと思い込み、「対応は医療関係者でないと無理!」と考えてしまうケアスタッフはまだまだ多いようです。   しかし、専門家でなくてもできる支援はいろいろあります。   まず大事なのは、上手に食べることをじゃましている原因が周囲にないかをよく観察することです。姿勢や環境、食べているものの内容を少し工夫するだけで、食べやすくなることが多々あります。

1.「今より安全に食べてもらう」のが目標

  口から食べている人の摂食・嚥下の問題を解決する目的は大きく一つに集約できます。 それは、「今より安全に食べてもらうこと」。そのためにどうしたら良いかを考えながら観察すると、ケアスタッフにもできるいろいろなことが見えてきます。

2.「むせ」などの原因は姿勢にあるかも!?

  口から食べているけれども、食事中にむせたり、飲み込みに時間がかかったりと何らかの不安を抱えている人の観察ポイントとして大きく、「姿勢」、「食べているものの内容」、「食べ方や環境」の三つがあります。   第一のポイントは姿勢です。下記のような「良くない姿勢」は体の一部に偏った力が入り、食べづらさ、飲みづらさを助長します。上手に補正することが必要です。





×テーブルが高すぎる

例えば、身長180cmの人と同じ高さのテーブルとイスで130cmの人が食事をするのは無理があります。 なるべく本人の高さに合わせること。施設などでは入所者の身長によってテーブルを分けるのも手です。 [イラストに戻る↑]

×足底が床についていない

足底がブラブラしていると姿勢が安定しません。
台を置くなど、足底がしっかり接地できるように工夫をしましょう。[イラストに戻る↑]

×首が上を向いた姿勢で飲む

簡単に言えば気道確保の姿勢であり、飲み込んだものが気管に入りやすい状態です。舌がうまく動かない人など、飲みづらいために上を向いてしまうケースもあるので、場合によってはVEやVEなどの検査が必要なこともあります。[イラストに戻る↑]

×ひどい猫背

普段から背筋を伸ばす動きを心がけるだけでも効果があります。
食事中はできるだけ背筋を伸ばしましょう。 [イラストに戻る↑]

×体幹が安定していない

安定しない体を無理に支えようとすると、体の特定の部分に偏って力が入ってしまいます。
クッションなどで安定させてあげましょう。 [イラストに戻る↑]

×イスからずり下がっている

イスの高さや大きさ、形がご利用者に合っていない可能性があります。この場合も体の特定の部分に力が入ってしまいます。イスを替えたり、パッドなどで調整したりします。 [イラストに戻る↑]

3.食事の内容をチェック

  次に食べ物の内容のチェックポイントです。  むせやすいもの、食べづらそうなものなど、特定の苦手な食べ物を探し出し、食品の選び方や調理法を工夫しましょう。一般的に食べづらいとされるものとして以下のようなものがあります。食べやすくするポイントとともに紹介します。

  • ×硬いもの(たくあん、アワビなど)柔らかくする工夫を。
  • ×刻むとバラバラになるもの(蒲鉾、コンニャクなど)あんかけにすると良いでしょう。
  • ×べとつきが強いもの(餅、水飴など)ゼリーなど流れの良いものと交互に食べると入りやすくなります。
  • ×パサパサするもの(生野菜、焼き魚など)あんかけにするなど口の中でまとめやすくします。
  • ×液体(お茶、みそ汁など)トロミ剤などでトロミをつけます。トロミ剤を入れすぎるとベタベタに固まってしまうので、必ず適量を使いましょう。
ムリに食べなくてもOK

食べづらいものを食べられるように工夫することはとても大事です。しかし、ある程度工夫しても難しければ、思い切って避けます。 要は、必要な栄養が補えればいいのです。介護現場では、ほかのものに代替するなど合理的な発想の転換も必要です。


4.摂食・嚥下機能の画像診断

 口から食べている人の中には、実は誤嚥をしているのに、そばで介助をしている人から見ると、気づきにくい場合が少なからずあります。「誤嚥をしているのか、微妙だな」と感じたときには、声を出してもらいましょう。  うまく出れば大丈夫ですが、声が出にくい場合は誤嚥の可能性が高いと考えられます。

次回は「摂食・嚥下の評価と援助」の項目の最終回。 テーマは「食べる環境を整える工夫」です。

微妙なときは「交互嚥下」も効果的

誤嚥しているか微妙なときには「交互嚥下」も取り入れてみましょう。
たとえば、お粥などを食べた後に少量の水などを飲み込んで、のどの残留物を除去する方法です。 食事の最後にエンゲリードなど飲み込みやすいゼリーを食べていただくのもよいでしょう。


経口摂取に関するチェックシートを毎回ダウンロードできます。毎号変わりますので忘れずにダウンロードしてください。今回は、「摂食場面のチェックシート」です。

摂食・嚥下障害のチェックシート PDFダウンロード
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