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日付:2013/10/29  カテゴリ[ちょっと休憩]  閲覧数[525]

東京方言話者と東北地方南部方言話者の言語処理の違いを発見 脳は育った地域方言によって音声を処理する 東北大など

理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、日本語における単語のピッチアクセント[1]を処理する際の脳活動における左右の半球の反応差が、東京方言話者と東北地方南部方言話者間で異なることを突き止めた。これは、理研脳科学総合研究センター(利根川進センター長)言語発達研究チームの佐藤裕研究員(現徳島大学准教授)、山根直人研究員、馬塚れい子チームリーダーらと、名古屋大学の宇都木昭准教授、東北大学の小泉政利准教授らの共同研究グループによる成果。

<本研究成果のポイント>
○同じ日本人でも育った方言環境により脳反応が異なる
○言語処理における左優位反応の形成には幼少期の方言経験が関与している可能性
○脳と言語発達の知見を深めることで、教育や医療発達分野への貢献期待

人間の大脳は左右半球に分かれており、単語や文の文法などの言語情報を処理する際には脳の左半球優位の反応が現れる。このような脳反応は、幼少期から言語を学ぶという経験によって形成される。

日本語の多くの方言では“雨”と“飴”の違いをピッチの上昇と下降で区別する。これを単語のピッチアクセントと呼ぶが、東北や九州地方の一部にはピッチアクセントを使わない、無アクセント方言と呼ばれる方言がある。

過去の研究から母語で単語の意味に関わる音の違いに対して左半球優位を示し、文の抑揚などの違いは、その優位性が現れないことが知られている。しかし、同じ言語内の方言の違いでも同様な変化が見られるのかは分かっていなかった。

そこで、共同研究グループは、ピッチアクセントを使う標準語の東京方言話者と無アクセント方言を使う東北地方南部方言話者を対象に異なる方言環境で育った話者間で脳反応に違いがあるかどうかを調べた。

その結果、“雨”と“飴”のようにピッチアクセントで区別される単語を聞き分ける際に、東京方言話者は、左半球優位の反応を示したのに対し、東北地方南部方言話者は左右同程度の反応を示した。このことから、同じ日本語でも東京方言話者は、ピッチアクセントの違いを単語の違いとして処理しているのに対し、東北地方南部方言話者は抑揚の違いとして処理していると考えられる。

放送メディアなどの影響で、異なる方言環境で育っても特に若い世代では標準語に接する機会も多く、研究に参加した東北地方南部方言話者は標準語と東北地方南部方言のバイリンガルとも言える。にもかかわらず、東北地方南部方言話者がピッチアクセント処理において東京方言話者とは異なった脳反応を示したことは、言語処理における左半球優位性には自分が育った方言環境が影響することを反映している可能性がある。

今回得た知見は、知識として知っている、あるいは実際に話したことがある言語であっても、幼少期より学んできた言語の一部ではない特性は、脳内では母語の特性とは異なる処理をしていることを示したものである。標準語圏で育っている赤ちゃんは、ピッチアクセントに対する左半球の優位性を10カ月の時点ですでに示すことが知られており、本研究の結果は、脳と言語発達に関する知見を深めることに役立つと考えられる。例えば、バイリンガル教育と脳発達、あるいは、言語獲得における脳の可塑性[4]など、教育分野や医療発達分野に貢献するものと期待できる。

理化学研究所

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