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日付:2013/11/01  カテゴリ[事故・違反]  閲覧数[1719]

悪化するまで受診させず死亡、虐待認定で事業所指定取消へ 佐賀「ホームタナカ」

佐賀地方裁判所(波多江真史裁判長)は28日、杵島郡大町町で認知症対応型共同生活介護事業を展開する「ホームタナカ」(池田博子代表、大町町福母400-8)が、認知症の入居高齢者6人を重症化するまで受診させずに放置するなどの「介護放置」「ケアプラン未作成」「看取りプラン未整備」とともに虐待を繰り返してきたとされる問題をめぐり、介護事業指定取り消し処分の準備を進めていた杵藤地区広域市町村圏組合に対して、ホーム側が処分差し止めを求めていた訴訟において、ホーム側の申し立てを却下する決定をくだした。

被告側となる組合側および組合に加入する大町町(おおまちちょう)などによると、今回の決定では、ケアプランの作成や人員の配置など運営基準が満たされておらず、介護事業所として入居者の人格を尊重していないとされたという。これを受けて組合の介護保険事務所では「こちらの主張が認められ、これで処分ができる環境が整った。11月初旬までに正式処分に踏み切りたい」として、あらためて取り消し処分を出す意向を示した。

この問題は、昨年2月から今年2月にかけて、ホームタナカの男女入居者6人が搬送先の病院で死亡していたことを受けて、今年に入って大町町当局が現地調査に着手し「重症化するまで放置した」として虐待事実を認定。事業所指定を取り消すよう組合側に要請していた。

町が聴取した元従業員の証言によると、「亡くなったうち一人はたびたび意識をなくしたり発作を起こしたりすることがあり、おかしいと思って施設長に報告しても何かしようとしなかった」という。医療受診の権限をもつのは施設長だけで、入居者を受診させるよう施設職員が頼んでも「施設長の母親である池田代表や父親の顧問医(福岡市の産婦人科医)への連絡・指示を仰がなければと抑制的だった」との証言もある。これに対しホーム側は、顧問医は少なくとも月2回は施設を訪問し入居者を診察しており、バイタルチェックするなど診断や投薬治療をしており、「入居者放置などというのは事実誤認」と主張している。

ケアプランについて町・組合側では「虐待認定6人のうち4人はケアプランが作成されていない。残る2人は作成されていても現場職員らは見たことがなく、個別ケアができる態勢にあったとは言えない」などとする。 また元入居者の家族も「ケアプランはもらっていない。その後に移った介護施設ではきちんと書類が渡されたのに」などと証言した。これに対し施設側は「ケアプランは全員あった」としたうえで、「行政による調査時にパソコンの中にあって出せないものが多くあった」などと反論した。

処分準備を進めてきた組合側は、施設側の言い分を聞く非公開の聴聞を2回実施。ここでは大町町職員らが出席し、虐待認定の理由について入所者の栄養状態の低下などを挙げてきた。元入居者の6人はいずれも入院後に死亡したが、同町では「虐待と死亡との直接的な因果関係はない」としている。

一方、施設を運営する介護事業者の有限会社シャロン(福岡市西区野方1-2-25)の代理人である団野克己弁護士は30日、今回の処分理由とされた虐待の事実関係について「医療的配慮も十分実施している。あらためて今後も訴訟の場で虐待がなかったことなど取り消し差し止めを求めていきたい」などと語った。もし指定取消となった場合は、現在係争中の処分差し止めの訴えを処分取り消しへと変更し、引き続き効力停止処分を求めて争う意向を示している。

(ASTRA医療福祉研究グループ)


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