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日付:2013/11/21  カテゴリ[ニュース解説]  閲覧数[719]

ケアマネの啓発活動について考える

生命保険会社のアンケート調査で、「介護保険が一般の人に浸透していない」状況が明らかになっています。介護への備えについて、「専門家への相談」や「セミナー参加等による情報収集」よりも、「預貯金」「民間の介護(費用)保険への加入」といったお金に頼る傾向が強いのも、介護保険の仕組みや信頼度が伝わっていないことの現れともいえます。

今後、課題となってくるのは、介護の現場と一般の住民の間の接点をいかに厚くしていくかということでしょう。包括などでは、公民館などに住民を集めて「介護予防」を通じてのセミナーなどを開催していますが、これも「ごく近い将来に介護が必要になるかもしれない」という参加者が大半です。

より若い世代への「介護問題」に対する浸透を図っていくためには、もっと日常的な接点を意識的に増やしていくことが必要でしょう。介護人材のすそ野を広げる、あるいは、住民の立場から地域包括ケアを担う人材を育てていくという点でも重要な課題です。

例えば、地元の商工会などが主催する祭りで、包括や地域のケアマネ連絡会の合同による「ブース」や「出店」が設けられているシーンを見かけます。そこで筋力年齢・血管年齢などを測るテストなどを行ない、道行く若い人も取り込みながら「要介護にならないための生活習慣」を訴えていく。あるいは、「認知症ケア」にかかる寸劇を上演して、人々の関心を集めるという光景なども見られます。

ある地域では、「介護」をモチーフにした着ぐるみキャラクターをブースに備え、親と一緒に祭りに出てきた子供たちの関心を集めるというやり方も見られます。これは、「子供たち」が寄ってくることで、その親にアピールする機会にもなります。小学校で認知症サポーター養成講座を行った際、その親も一緒に参加するという場面がありますが、これと同じ効果をもたらす演出といえるでしょう。

子供といえば、小学生の子供がいるケアマネが保護者会などに出席する際、事業所に数多く届く「セミナー開催のお知らせ」チラシや「福祉用具」のパンフ、無料の「介護情報誌」などをカバンに入れていくという人がいます。そして、保護者同士の雑談の中で「介護に関心がある」という話題が出たら、そうした資料をその場で渡すといいます。

日々忙しくて、一般の人への啓発まで頭がまわらない──という人もいるでしょう。しかし、わずかの時間でも「一般の人々との接点」を築いていくことは、長い目で見たときにケアマネ業務の向上にも結びつきます。

ケアマネ業務で負担となる要素の一つに、「初期段階での利用者への説明」があります。例えば、介護保険についてなかなか理解してくれない、家族がパニックになっていて落ち着いてもらうまでに時間がかかる、など。そうした中での「介護保険に関する理解を求めること」には相当な労力が必要になります。

そんなとき、「すでに介護保険、あるいは本人の状態像(認知症など)について一定の理解がある」となれば、初期段階での負担を少しでも減らすことができ、その後のケアマネジメントをスムーズに進めやすくなります。

この点を考えれば、少しでも一般住民の中へと出向いていき、様々な知識を広めていくことは、巡り巡ってケアマネのためになるという意識が必要です。ケアマネ単独ではなかなか難しくても、連絡会や地域の自主グループなどの仲間と連携し、地道な接点づくりを手がけたいものです。有権者でもある利用者の理解は、制度をよりよい方向に見直していくうえでも大きな力となるはずです。

(福祉ジャーナリスト 田中 元)


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