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日付:2013/11/27  カテゴリ[ニュース解説]  閲覧数[1035]

生活者としてのケアマネをフォロー

当たり前のことではありますが、ケアマネにもそれぞれの「生活」があります。そして、どんな職業でもそうですが、プライベートに何らかの課題を抱えていれば、少なからず仕事にも影響を及ぼすことになるでしょう。

例えば、家庭内に何らかの問題が生じれば、仕事に対しての集中力が低下する懸念も出てきます。ケアマネの場合、利用者との面談などにおいて、相手のちょっとした言葉や表情などから背景にある課題を察知することが、大きなカギになることがあります。そのとき、集中力を欠いていれば、利用者にとっての重大な課題を見落とす危険も出てくるでしょう。

また、プライベートでの心配事が募ってくると、冷静な判断力も低下する恐れがあります。かつて、うつ病治療にかかわる医師からこんな話を聞いたことがあります。

人は心配事が積み重なってくると、心のエネルギーがどんどん枯れていきます。その減った分のエネルギーをカバーするべく、人の脳の中に興奮をもたらす物質が大量に出てくるといいます。そのため、ちょっとしたことで怒りやすくなるなど感情的になり、交感神経も過敏になるために不眠にもつながり、それがさらに心のエネルギーを低下させるという悪循環におちいってくるわけです。

ケアマネの場合、利用者の制御できない感情がぶつけられることがあります。その思いに共感することは大切ですが、同時に冷静な判断力を駆使して、そこにある課題を掘り起こしていくことが欠かせません。ケアマネ側が感情をコントロールできず、冷静な判断ができない状況が生じれば、利用者と一緒になって負の感情をエスカレートさせるというスパイラルに突入しかねません。これでは十分なケアマネジメントができなくなります。

さらに、不眠などが重なると、腰痛や肩こりなどの体調不良にもつながります。ケアマネの場合、直接介護にたずさわるケースは少ないものの、給付管理のために長時間パソコンの前に座らざるをえないこともあります。長時間同じ姿勢で座れば腰に負担がかかり、パソコン画面を見つめ続ける中で目の疲れが肩こりにつながりやすくなります。ただでさえ体調を崩しやすい状況で、先のような不眠が加われば、腰痛・肩こりの悪化から業務に大きな支障がおよぶことになります。

こうした点を考えたとき、ケアマネ自身の生活をいかに守るかは、ケアマネジメントの流れの中で大きなポイントになるといえます。在宅での利用者が重篤化する中、医療・介護の様々な職種がしっかりと連携をとることは大きなカギであり、その重要なつなぎとなるのがケアマネです。つまり、ケアマネがしっかりと役割を担う環境が築けなければ、地域包括ケアも十分に機能しなくなるわけです。

これから先、制度が著しく変わってくれば、システムの変更などに対応するべく、短期的ではあっても残業や休日出勤が増えてくる可能性は高まるでしょう。「生活者」であるケアマネとしては、自分の家族とのコミュニケーションの時間が制限されたり、仮に報酬減が重なれば家計への不安も募っていきます。

そうした不安要素が、巡り巡ってケアマネジメントの質に影響を及ぼすことになれば、制度の円滑な運営も妨げられかねません。根性論やプロ意識という掛け声でカバーしようというのは簡単ですが、それだけでは大きな流れを変えることはできないでしょう。

ケアマネが健全な生活者であり続けるには、地域全体でどのようなフォローが必要なのか。行政や包括も、こうした視点を強めながらケアマネ支援を行なうことが必要な時代です。

(福祉ジャーナリスト 田中 元)


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