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日付:2013/11/29  カテゴリ[ニュース解説]  閲覧数[1351]

電話相談から浮かぶ深刻な現場状況

10月29日・30日の2日間、弁護士と市民活動関係者によって、電話相談「介護労働ホットライン」が開設されました。全国から寄せられた相談は、総受付時間24時間で58件。現場の介護労働者を主な対象とした電話相談は例が少なく、これまでなかなか表に出てこない様々な相談ケースが上がっています。

所属している事業所・施設から深刻な圧力を受けているケースも多いため、相談内容の詳細には踏み込めませんが、全体的な傾向について主宰者より話を聞くことができました。

相談者の年齢は40・50代がほぼ半数を占めていますが、現在の職場での勤続年数は「4年未満」が約6割となっています。大半は施設職員とホームヘルパーですが、ケアマネからの相談も1割強見られました。

相談内容は、低賃金にかかわるものをはじめとして、長時間勤務やサービス残業にかかわることが目立っています。また、「いじめ」など職場の人間関係に関するものや、利用者とのトラブルに関する相談も見られました。さらに少数ではありますが、利用者虐待を組織ぐるみで隠蔽したり、明らかに指定基準違反をおかしている事業者に対する内部告発的な相談もあり、労基署や自治体もあてにできないという流れから、今回のホットラインに頼るというケースもあがっています。

ケアマネからの相談については、自分自身の低賃金や利用者・他職種との人間関係についてのケースが目立ちます。一方で、法人内の現場管理を担う立場から、介護職員・ホームヘルパーがいかに厳しい労働条件を強いられているかを告発するパターンも見られました。現場職員がなかなか上げにくい声をケアマネが代弁している状況も浮かびます。

低賃金に関しては、施設・グループホームなどの職員が深刻で、常勤でも月額11~12万円というケース。時給の場合でも700円代と都道府県別の最低賃金をかろうじて超えるケースなどが寄せられています。より深刻なのが「サービス残業」で、「タイムカードを押してからの残業を強いられる」というケースが目立ち、トータルで月80時間という例もありました。

また、勤務時間外のケース検討会や休日の研修会への出席を強いられ、出席を「断わる」と査定にひびくというケースもあります。相談を寄せたケアマネの中には、「行政はスキルアップをうたうが、金銭的な保障がない」という批判の声をあげる人もいました。

ホームヘルパーで深刻なのが、非常勤や登録という働き方において、移動時間や待機時間が賃金に換算されないという点。山間部などにおいて、家や事業所から利用者宅までの移動で多くの時間を費やすために、1日2~3件で実働時間は2、3時間程度、月数万円の収入にしかならないケースもあります。

いずれにしても、相談者の多くは疲弊しており、不眠などを訴えつつ、心療内科に通っているというケースも複数ありました。ぎりぎりの状況で勤務している様子が伝わる中で、これで利用者の安全・安心が保てるのかという危機的な状況も浮かびます。

今回のホットラインについては、年明けにも詳細な報告書が出される予定で、主宰者は今後も継続的に行なっていきたいといいます。全国136万人にのぼると言われる介護労働者と比して今回の相談はごくわずかですが、気になるのは、全国各地からまんべんなく相談が寄せられているという点です。中にはまったく異なる地域から同じような相談が寄せられるというケースも見られます。このことから、地域特性という枠を超えて、普遍的な悩みが広がっている可能性は無視できません。

(福祉ジャーナリスト 田中 元)


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