日付:2013/12/06  カテゴリ[ニュース解説]  閲覧数[638]

「末期がん」の人にも予防の理念を

末期がんの人が在宅で療養する場合、ほぼ暫定プランでサービス提供を進めていくケースになると思われます。暫定プランとなれば、判定される要介護度をある程度予測したうえで、利用者家族などに大きな負担が発生しないよう気を配ることが必要になります。しかしながら、結果として「意外に軽く出てしまう」ことも往々にして起こりえます。

現場の訪問看護師などに聞くと、「末期がんの人でも日常生活動作は十分に保たれているケースが多い」といいます。つまり、そのときのADL状況だけに着目して認定調査を進めてしまうと、時として要支援になってしまったというケースも出てくるわけです。

ニュースにもある通り、末期がん、もしくは進行性の難病などにおいては、療養管理や「している生活」の継続を重視した生活リハなどが十分に行われないと、突然ガクンと状態像が悪化しかねません。「最期は住み慣れた自宅で」という本人や家族の意向をせっかく叶えたとしても、急速な状態の低下が本人や家族の苦しみ・つらさを増やしてしまうことになっては意味がありません。

そうした現実を目前にしてきたケアマネも多い中、「末期がんなどの人のケアマネジメントは受けづらい」という意識が業界全体に生じてしまえば、地域包括ケアの理念も絵に描いた餅になってしまう懸念があります。その点で、今回の内閣府「健康・医療ワーキンググループ」が示した論点は、現場にとっても極めて重要なポイントといえるでしょう。

では、仮に末期がんなどの人の要介護認定が適切に行われる状況になったとして、ケアマネとしては、どんなことを頭に入れながらケアマネジメントを進めるべきでしょうか。医療の立場からすれば、それまで「していた生活」の継続性を高めるべく、在宅における緩和ケアにいっそう力を入れる必要があります。そのうえで、ケアマネの立場から「重度化防止」という考え方を意識的に導入していくことが重要になってくるといえます。

例えば、社交的な人であるならば、できるだけ外に出ていき、「社会参加の機会をつくることが、その人らしい人生をまっとうするうえで欠かせないポイントとなるでしょう。しかし、通所看護や保険外サービスによる「付き添い看護」などの資源が十分とはいえない中で、ともすると「外に出ていくことを活動目標にして、外出先で本人に何かあったらどうするのか」といった家族や周囲の人々の不安がどうしても気になってしまうものです。

ケアマネとしては、極めて重い責任を背負わされることになります。結果として、「まずは家でゆっくり療養する」ことが最大目標になってしまい、本人にとっての真の意向が後回しにされてしまう懸念も生じます。

ケアマネには、本人の意向をしっかりと受け止め、周囲を地道に説得していく「強さ」が必要だ──と言葉だけで言うのは簡単です。しかし、それだけの勇気と責務をケアマネだけに背負わせてしまうのは、酷といえるでしょう。やはり、医療・介護の連携チーム全体で「どうすればその人らしい人生をまっとうできるか」というビジョンをしっかり共有し、そのチームで本人や家族と向き合っていくという体制づくりが欠かせません。

最近は、志の高い訪問診療医や訪問看護・訪問リハステーションなどが少しずつ増えています。ここに地域のケアマネグループなどが働きかけることにより、地域の人々の啓発を行なうことも重要でしょう。連携チームの総合力をもって、地域のすそ野から意識を変えていくことを考えていきたいものです。

(福祉ジャーナリスト 田中 元)


この記事に関するコメントを見る、書く