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日付:2013/12/17  カテゴリ[ニュース解説]  閲覧数[1411]

ノロウイルス感染、在宅でも注意が

毎年12月になると、ノロウイルス等による感染性胃腸炎の患者数が急増する傾向があります。昨年、ノロウイルスによる食中毒患者数は、過去10年で2番目の水準でしたが、今年も厚労省保健福祉局より流行警報が出されるなど、深刻な事態が予想されています。

ノロウイルス等による感染性胃腸炎の場合、施設における集団感染にスポットが当てられがちですが、在宅における感染にも十分な警戒が求められます。その背景として、定期巡回型サービスなどのように、「利用者宅を短時間で次々と訪問する」スタイルが増えている点があげられます。つまり、地域全体が施設のような仕組みになっているわけです。

例えば、事業所に戻らないまま、利用者宅から利用者宅へと訪問するとすれば、予防のうえでもっとも基本となる手洗いやうがいなどは、各利用者宅で行なわざるをえません。過去のニュースにも上がっているとおり、ノロウイルスに対してはアルコール消毒の効果は薄く、その分「手洗い」を十分に行なうことが必要です。慌ただしい移動・訪問の中で、この「手洗い」がしっかりできていないと、在宅とはいえ感染が広がる危険が生じます。

定期巡回・随時対応型サービスの場合、「看護師が同行するケースが多いから安心」と言えるのかどうか。利用者宅で手洗いを行なうとして、液体石けんや手拭き用のペーパータオルなどを携帯することが必要ですが、そうしたマニュアルを整え実践するという業務風土も強く問われることになります。

同様のことは、急速に増えているサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などでも言えることです。サ高住は施設ではありませんが、安否確認や相談援助のために、特定の従事者が居室を次々とまわるスタイルをとることがあります。ここでも、定期巡回サービスと同じリスクが生じる可能性があるわけです。

介護・看護職員であれば、「随時の手洗い」が徹底されるでしょうが、生活相談を担う従事者にもその意識を徹底できるかどうか。このあたりは、サ高住を運営する事業者の意識が問われてくるといえます。

定期巡回型サービス、サ高住は、ともに国が地域包括ケアのカギとして位置づけているものです。そこにノロウイルスなどの感染症リスクが生じるとするなら、これからの高齢者介護の屋台骨がゆらぐことになりかねません。国としても、「施設内の集団感染」だけでなく「地域の中のでも集団感染」を頭に入れながら、対策を補完する必要があるでしょう。

そのうえで、仮に事業者間で「対応」にバラつきがある中でも、リスクを軽減させていくという仕掛けも求められます。必要となるのは、やはり第三者的な視点によるチェック機能が働くかどうかです。もちろん、居宅のケアマネも「重要なチェック役」として位置づけられるべきでしょう。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護が誕生したとき、ケアマネがサービスに対してどこまで深くかかわれるかが問われました。サ高住にしても、居宅支援事業所の併設で「居住者を囲い込む」という状況が生じた場合、内部のサービス体制についてチェック機能が働くのかどうかに不安が残ります。

これをカバーしていくうえでは、地域のケアマネ連絡会などが「在宅利用者の感染症リスク」を課題として取り上げ、サービスの垣根を超えて合同で「感染症対策」のマニュアルづくりを進めるなどの必要もあるでしょう。新たな仕組みができるたびに、ケアマネがどんな役割を担えばいいのか。現場レベルでも話し合ってみたいものです。

(福祉ジャーナリスト 田中 元)


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