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日付:2013/12/25  カテゴリ[ニュース解説]  閲覧数[1693]

住宅改修事業者の登録制度について

介護保険部会で取りまとめられた「介護保険制度の見直しに関する意見案」の中に、ケアマネとしても注目しておきたい提案があがっています。それは、住宅改修事業所の登録制度の導入です。「利用者負担の仕組み」にもかかわるので確認しておくことにしましょう。

介護保険で支給される住宅改修費については、他のサービスと異なり、住宅改修を手がける事業者の「指定」は行われません。事業者指定がないために、特段の規定もありません。それゆえに、多くの保険者から「指定制度でないために、事業者に対する指導が難しい」、「事業者によって技術・施工水準のバラつきが大きい」という課題があがっています。

いわゆる住宅リフォームにかかるトラブルが増えている中で、たとえ制度上の根拠がなくても、各保険者が独自の条例などで対応することができるのではないかという意見もあります(民事契約とはいえ、国民の保険料や公費で成り立っているのですから、公益性を重視した対応も不可能ではないでしょう)。

しかしながら、保険者の事務負担がますます増えていくとして、国による何らかの制度上のバックアップが必要なことは間違いありません。そこで今回の意見案では、「住宅改修の質を確保する観点から、市町村が、あらかじめ事業者の登録を行ったうえで住宅改修費を支給する仕組み」の必要性を述べています。

イメージとしては、現行の仕組みのままか、登録制度を導入するかという点について、保険者が任意で選択できるというものです。そのうえで、登録した住宅改修事業者に対しては、保険者による指導・研修を可能にします。

さらに、登録された事業者は、利用者に代わって住宅改修費の支給申請を行ない、給付は事業者が受け取ります(受領委任払い)。住宅改修費の場合、原則として利用者が保険者へ請求を行なったうえで、償還払い(後から費用の9割が払い戻される)が適用されていますが、市町村によってはすでに受領委任払いが導入されています。これを事業者登録を要件として、一律に適用するというわけです。

注意したいのは、これはあくまで登録制度であって、事業者指定の仕組みではないという点です。つまり、登録していない事業者でも、「介護保険の住宅改修ができない」わけではなく、登録している事業者を選ぶか否かは、利用者の自由選択に任されることになります。本人が行なう改修についても、材料の購入費を支給対象としていますが、この仕組みもそのまま残ることになります。

ただし、利用者にしてみれば、「最初から10割を負担しなくてもいい」とか「給付費の申請をする手間が省ける」という点で、登録事業者を選ぶ方が利便性は高くなります。「市町村に登録しているのだから、安心して頼むことができる」という心理も働くでしょう。

問題なのは、この仕組みで、果たして質の悪い事業者が本当になくなっていくのかという点です。確かに、受領委任払いのような仕組みが導入されれば、保険者のチェックはききやすくはなるでしょう。しかしながら、登録基準などがしっかりしていないと、質が悪くても登録事業者から排除されず、利用者にとっては自立支援の入口となる住宅改修で不利益をこうむるケースも出てきます。

すでに一部自治体で、事業者の登録制度や受領委任払いの仕組みがスタートしています。となれば、それが事業者の質を維持するうえで、どのように役立っているのかという検証は可能です。様々な視点から評価を行なうとともに、現場からのヒアリングを通じて効果的な仕組みを築きあげたいものです。

(福祉ジャーナリスト 田中 元)


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